「クマよけスプレー」友人が使用試みるも噴射できずか…携行していたのは使用歴がある缶 北海道羅臼岳にヒグマに襲われ男性(26)死亡 現場付近はクマのエサとなるアリ発生ポイント
2025年08月22日(金) 06時15分 更新

北海道知床半島の羅臼岳で8月14日、登山中の26歳の男性がヒグマに襲われて死亡した事故で、一緒に下山していた友人が「クマよけスプレー」の使用を試みましたが、噴射できていなかったことがわかりました。
8月14日、斜里町・羅臼岳(標高1661m)の登山道で、友人と下山中だった東京都の26歳の男性がヒグマに襲われ、翌日に死亡しているのが見つかりました。登山道入り口に集まる関係者(14日・羅臼岳)
登山道の脇の茂みに引きずり込まれていく男性を目撃した友人は、クマを素手で殴り、なんとか追い払おうと必死に抵抗しましたが、クマは男性を引きずりながら、茂みに消えていきました。
「知床財団」は21日、今回のヒグマ人身事故に関する調査速報を公表。
襲われた男性と一緒に下山していた友人は、「クマよけスプレー」とうたわれている商品を所持していて、使用を試みましたが、噴射できていなかったということです。男性の遺体を収容して病院に搬送したヘリ
友人が携行していた「クマよけスプレー」は、ヒグマに対応した製品ではなかったほか、新品ではなく使用歴のあるものでした。
男性がヒグマと遭遇したとされる地点は、羅臼岳の標高550m付近で、夏にはヒグマのエサとなるアリが発生し、ヒグマの出没が多発する場所として知られているということです。捜索に向かう道警の山岳遭難救助隊
現場付近では、母グマ1頭と子グマ2頭がハンターによって駆除されていて、母グマは11歳で体重117kg、体長140cmでした。
また、子グマは体長72㎝のメスと、71㎝のオスで、体重はそれぞれ17㎏。ともに0歳でした。
駆除された母グマは、2014年から知床国立公園で毎年のように目撃されていて、今年に入ってからは、今回の親子グマと思われるヒグマの目撃情報が30件以上寄せられていました。羅臼岳に入山するハンターたち
知床財団によりますと、羅臼岳の登山道では8月10日に親子グマと人が3~4メートルまで接近する事案があり、外見上の特徴から今回駆除された個体と同一である可能性が高いということです。
また、12日にも羅臼岳の登山道でヒグマと人が至近距離で遭遇していて、クマ撃退スプレーを使用しても5分ほど付きまとわれる事案がありました。
目撃者からは「駆除されたヒグマの特徴と似ていた」との情報提供があったということです。