高校生が「朗読劇」で語り継ぐ被爆者の証言 「誰にでも伝えたい」被爆者と直接面会し、戦争の実態を学ぶ
2025年04月16日(水) 16時26分 更新
原爆が投下されてから今年で80年。
被爆者の貴重な証言を語り継いでいこうと、札幌市の高校生が新作の朗読劇に取り組んでいます。
小学校の体育館に響く、和太鼓の音色。
子どもたちをボランティアで指導しているのは、札幌南高校定時制の2年生、前川玲奈さんです。
小さいころから音楽の演奏や演劇などが好きだったという前川さん。
2024年、高校に入学して新たに始めたのが…。
札幌南高校定時制2年 前川玲奈さん
「水を求めたであろう人々が、重なり合って死んでいました」
北海道内に住む被爆者の体験を語る「朗読劇」です。
札幌南高校定時制2年 前川玲奈さん
「劇にちょっと興味があって、自分からちょっと先生の方にやりたいですって言ってやってみた」
仲間は定時制の有志6人。
札幌市の「北海道ノーモア・ヒバクシャ会館」で、原爆に関する資料を見学したり、被爆者と直接面会したりして、戦争の実態を学んできました。
2024年は広島県出身者の証言をもとにした「ヒロシマ編」を披露。
2025年、新たに取り組んでいるのが「ナガサキ編」です。
80年前の8月9日に被爆した、当時7歳の3人の証言を生徒たちが語ります。
2月に札幌市で開かれた核兵器の廃絶を訴える集会。
被爆者も見守る中、長崎編を披露する機会がやってきました。
札幌南高校定時制2年 前川玲奈さん
「あの日はとっても穏やかな日で、私たち家族もくつろいだ気分でいました」
会場には、前川さんが演じる宮本須美子さん(87)の姿も…。
朗読劇
「何かが光り、ものすごい音と爆風が押し寄せてきた」
「死臭が漂う焼け野原」
「数え切れぬほどの丸焦げの死体」
「橋の下には、水を…水を…水を求めたであろう人々が、重なり合って死んでいました」
「私たち被爆者は、原爆症の後遺症を抱えながら、その後の人生を生き抜いてきたのです」
「ノーモア ナガサキ。ノーモア ヒバクシャ」
前川さんが演じた宮本須美子さん(87)
「もう二度と原爆なんか。平和な世界でみんなが進んでいったらと思う」
札幌南高校定時制2年 前川玲奈さん
「誰にでも伝えたい。朗読劇がきっかけで、戦争のことを詳しく知りたいなって思ってくれたらいいな」
被爆者の証言と平和への願いを伝えていくため、高校生たちはこれからも語り続けます。