引退機関車が新天地へ大移動…600キロの道のりをトレーラーで3日間かけて到着 数十年ぶりに始動したエンジンが呼び込む旅人
2025年08月22日(金) 21時55分 更新
引退した機関車がオホーツクで復活、夢を乗せて出発進行。エンジンをうならせ、パワフルに走るディーゼル機関車。
ここは北海道オホーツク地方の網走湖のほとりにある旅館の庭です。
鉄ちゃんと鉄子の宿・郡山卓也さん(20日)
「初めてやることばかりなのと、線路はカーブがあるのでカーブの施工に苦労した」
50年前、道内の国鉄駅で活躍し、引退した機関車が網走市で再出発。旅館オーナーが描く、夢のビジネスモデルを「もうひとホリ」します。
藤田忠士記者(2024年11月)
「ショベルカーにけん引されて車両が倉庫から出てきました」
2024年11月、函館の五稜郭駅です。この日、1台の機関車が、半世紀にわたって働いてきたレールから引き離されました。
鉄ちゃん鉄子の宿・郡山卓也代表(2024年11月)
「元々は貨物列車の入換用の駅の構内で使っていた機関車で、今は五稜郭の倉庫で入換で使っていたんですけど、この車両は使われなくなった」
網走市で旅館を営む郡山卓也さん。この機関車が、間もなく解体されることを知り購入を決意しました。
郡山卓也代表(2024年11月)
「旅館が旧国鉄の宿なので『車両が、1つあればいいな』と考えていた。実行しないというのが後悔するんじゃないかなと」
この機関車は、長らく函館の車両所で活躍。貨物列車を別の線路に移す作業などに使われ、北海道の物流を下支えしました。
「貴重な鉄道遺産を残したい」
郡山さんは1000万円以上かかる資金集めと手続きを乗り越え、購入にこぎつけました。
最大の難関は…
輸送を担当した三和重工・小野章人運転手
「電柱とか当てないよう気をつけている」
網走市までの移動です。「線路」は使えないため「一般道」で…鉄道車両がトレーラーに載って移動するレアな光景です。
七飯町の少年
「(嬉しそうだね)レアだから!レアなんで撮りたいと」
600キロの道のりを3日間かけて、郡山さんの旅館に到着しました。
作業スタッフ
「安全作業でお願いします」
郡山さんは、かつて国鉄職員の保養所だった建物を引き継ぎ、旅館を営んでいます。その名もズバリ「鉄ちゃんと鉄子の宿」庭にレールを敷き、往年の名列車を展示し、鉄道ファン垂涎の旅館を作る構想があります。
そして…
郡山卓也さんエンジン始動「ゴーッ」
数十年ぶりに、エンジンがうなりを上げました。
今村朋慎カメラマン(20日)
「ようやく線路の上に降りた『入換動車』これから私も試乗体験します」
旅館の目玉は、往年の鉄道車両を運転できることです。
今村朋慎カメラマン
「順調に線路の上を走っています。乗車ならではの迫力があります」
物流を陰で支えてきた引退車両が、輝く主役に。オホーツクの新たなスポットになりそうです。
鉄ちゃん鉄子の宿・郡山卓也代表
「レールの上を走る体験には、ちょうどいい大きさ、網走で鉄道に乗りに来てほしい気持ちもある。全国からたくさんの人が来ていただければ」
郡山さんによりますと、今後の課題は保存とメンテナンスにかかる費用だということです。