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「昔の味を再現」イカの塩辛の老舗が挑戦“木樽仕込み”で守る伝統の食卓「パンチがある」「日本酒に合う」で手ごたえ 北海道函館市

2023年11月21日(火) 18時10分 更新

 北海道函館市に、名物のイカの塩辛を昔ながらの製法で代々作って来た店があります。
 老舗のこだわりをカメラマンが追いました。

 職人が木樽のなかを棒で突いています。なかにはたっぷりのイカの塩辛。
 大正3年(1914年)創業、函館市の小田島水産食品です。

小田島水産食品 小田島隆社長(3代目)
「これが基本、突くことによって空気が入り、それで発酵菌が元気になる」

 塩辛は発酵食品。かき混ぜると発酵の証、ほんのり桜色に変わっていきます。
 この作業を1日2回、1週間繰り返します。
 手作り塩辛のカギとなるのは、70年以上使い込んだ秋田杉の木樽。
 独特の旨みがにじみ出る酵母菌や乳酸菌が住み着いています。

小田島水産食品 小田島隆社長
「プラスチックだと発酵という状況が生まれないので、やはり木樽にこだわった」

 今年、小田島水産は「ある」塩辛造りに挑戦しています。

小田島水産食品 小田島隆社長
「塩だけの塩辛を冷蔵庫のない時代から作ってますけれど、今回は再現してみたいと思います、塩分20%です」

 ふだん作っている塩辛は塩分5~11%。
 調味料を使わず、通常の4倍の塩とイカゴロだけで作る昔ながらの“しょっぱい”塩辛です。

 仕込みから11日後、工場に併設された塩辛を試食できるバル。
 去年、小田島社長の長男、章喜さんがオープンさせました。
 先月、ここで完成した「しょっぱい塩辛」の試食会が開かれました。

塩分20%の塩辛を試食した客
「あ、パンチがありますね。おいしい!」

小田島社長の長男 小田島章喜さん
「昔の味。食べたことない人も、食べた瞬間、未体験の世界を味わえると思います」

 商品化に向けて一歩前進です。
 私も食べてみました。

梶野顕良カメラマン
「塩味はありますけど、ガツンという感じはなく、まろやかですね」

小田島水産食品 小田島隆社長
「昔の塩辛の味を再現するのも、われわれの役目なのかなと」

 函館の食卓を彩ってきた塩辛。
 伝統の「木樽仕込み」には、その食文化を守ってきたプライドが、ピリッと効いています。