スズメバチ急増のワケ 駆除などの注意点は?エサとなる昆虫が豊富で女王蜂多く、暑い日が続いて活発化が早まったか
2025年08月04日(月) 16時27分 更新
夏に飛び回る「スズメバチ」。
今年はよく見かける、という人も多いかもしれません。
急増しているワケを取材しました。
札幌サニター 種田直人 代表
「(巣はどこにある?)軒下。あのアンテナの下」
「(大きさは?)小さい方だと思う」
札幌市北区の住宅にできた、野球ボールほどの大きさのスズメバチの巣。
幸い、発見が早く、駆除業者もあっという間に巣を取り除くことができました。
札幌サニター 種田直人 代表
「今年はかなり多い。今のペースだったら、(去年より)多くなりそうな感じ」
急増するスズメバチと、その対策を深掘り取材します。
7月、北海道芽室町にある「帯広の森テニスコート」で、ソフトテニスの大会中に17人がスズメバチに刺されて、軽いけがをしました。
近くにいた人
「(ハチ1匹が)襲うという感じではなく、威嚇にきたりとかしていた」
毎年夏にハチの駆除の専用ダイヤルを開設している、北海道ペストコントロール協会によりますと、6月の駆除件数は、2024年の約3倍となる245件。7月も1.2倍ほどの319件で増え続けています。
こちらは、札幌市西区の建物にできたスズメバチの巣です。
大人の握りこぶし2つほどの大きさで、見張りのハチが周囲を警戒していました。
依頼者
「あまり(ハチが)ブンブン寄ってきてはいないけど、(知らない間に)大きくなっちゃって」
道路から死角になっていて、気づきにくいところにできた巣。
大きくなれば、サッカーボールほどの大きさになるといいます。
早速、駆除開始です。
まずは、スプレー殺虫剤を棒に取りつけて、巣穴に直接、噴射!
一定時間吹きかけて、ハチが出てこないことを確認したら、巣を取り除きます。
ハチが暴れて出てこないよう、手際よく作業し、
わずか5分ほどで、駆除が終わりました。
今回、2か所で駆除されたスズメバチの特徴について、道立衛生研究所の専門家に聞きました。
道立衛生研究所 伊東拓也さん
「両方ともコガタスズメバチという種類。比較的おとなしい種類だけど、やっぱり人の庭とか、導線上・人が動くところに(巣を)作ると刺してくる種類なので、そういう場合には駆除が必要になるときもある」
長年、ハチの研究を続けている伊東さんは、2025年にスズメバチが急増している要因について、「例年に比べて、女王蜂が多いため」と推察しています。
道立衛生研究所 伊東拓也さん
「去年の巣が多かったわけではないので、去年1つ1つの巣が大きくなり、1つの巣あたりの女王蜂が多かったのは考えられる。8月に入ると、もう巣も大きくなり、働きバチも増えて、来年の女王蜂を産み始めると、巣全体が興奮しやすくなる」
今年は卵を産む「女王バチ」が特に多く、貴重な映像も撮影されています。
今回、取材に協力してくれた道立衛生研究所の伊東拓也さんが5月に撮影した映像です。
1匹の女王バチが巣を作る場所を探していると…女王バチ同士が争っています。
女王バチ同士は、巣の縄張りをめぐって争う習性があり、縄張りが重なると、こういった争いが起きるそうです。
■2025年 スズメバチが多いワケ
道立衛生研究所の伊東拓也さんによりますと、
●女王蜂の数が多い
スズメバチは、毎年秋ごろ、200匹から300匹の女王蜂の卵を産みます。
2024年は、昆虫などのエサが豊富だったため、女王蜂の卵の数も多かったのではないかということです。
●気温が高く活動が早まった
スズメバチの活動は気温が20℃~30℃の時に活発化しますが、2025年6月は、1日の平均気温が20℃以上の日が多く、活動が例年よりも早まったとみられています。
■スズメバチの注意点
●定期的に「換気口」「軒下」など家の周りをチェック
特にハチの姿をよく見かけるときは、巣が大きくなる前に早期に発見し、早めの駆除が重要です。
・どんなに巣が小さくても駆除は専門業者に依頼してください。にわか知識で駆除してしまうと、返って刺されてしまいます。
●もし刺されたら
呼吸困難など「アナフィラキシーショック」になる可能性もあるので、速やかに病院へ。
2025年は暑さでスズメバチの活動期間が長引くことも考えられます。
気を付けて生活していきましょう。