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「宇宙から電波が来るからガードしてほしい」事件前に異常な言動、男女2人が焼死 放火殺人の罪に問われた70歳被告の初公判 責任能力争う 札幌地裁

2025年09月02日(火) 22時27分 更新

荻野正美被告(2日・法廷スケッチ)
荻野正美被告(2日・法廷スケッチ)

2022年9月、北海道北広島市で、入居する自立支援施設に火をつけて男女2人を焼死させたとして、殺人と現住建造物等放火の罪に問われた男の裁判員裁判が2日始まりました。

被告の男は起訴内容を認め、弁護人は心神喪失だったとして無罪を主張しました。

2日の法廷(札幌地裁)
起訴状などによりますと、荻野正美被告(70)は、2022年9月、北広島市にある生活困窮者向け宿泊施設で、施設を運営するNPO法人の理事長で、管理人として住み込んでいた男性(当時71)を殺害しようと考え、自分の部屋などに灯油をまいて火をつけて、施設を全焼させ、男性と入居者の女性(当時51)を焼死させて殺害した罪に問われています。



事件発生時の現場(2022年9月・北海道北広島市)
2日の初公判で荻野被告は、起訴内容を認めたうえで、次のように語りました。

荻野被告「どうしてこのような事件を起こしてしまったのか」
・荻野被告
「どうしてこのような事件を起こしてしまったのか。どうして本当の自分に戻ることが出来なかったのかそれもわかりません」

荻野被告「どうして本当の自分に戻ることが出来なかったのかそれもわかりません」
検察側は、冒頭陳述で「施設の管理人が入居者や被告の子どもを殺していると考え、敵を取ろうと火をつけた」と指摘しました。

そして荻野被告に何らかの精神障害の影響はありつつも、善悪などを判断できる責任能力がどの程度、低下していたか判断してほしいと裁判員らに求めました。

弁護側は無罪を主張
一方、弁護側は、犯行時、荻野被告は「幻覚、妄想の圧倒的影響による心神喪失の状態」で責任能力はないとして無罪を主張しました。

荻野正美被告(2日・法廷スケッチ)
2日の公判では、当時施設に住んでいた男性への証人尋問が行われ、荻野被告は事件の1週間ほど前から「様子がおかしくなって、叫んだりしていた」と証言しました。

■初公判で明らかになった犯行の動機や経緯
【動機】
管理人の男性らが被告の子どもなどを殺害してその死体を解体していて、自分も殺されると思いこみ、その前に男性を殺そうなどと考えた

【経緯】
□2021年1月荻野被告が施設に入居

□2022年9月ごろから異常な言動が現れる
「お月様が逆立ちしなさい」
「宇宙から電波が来るからガードしてほしい」
「戦争だ。お前が死ぬか親爺が死ぬか選べ」
施設内をパンツ姿で歩き回ったり、理由がないのにインターフォンを押すなど…

□2022年9月30日本件犯行
灯油のポリタンクを開けて、荻野被告の部屋や廊下に灯油をまき火をつける
「逃げろ。何やってんだ」と叫びながら逃げる
駆け付けた警察官に「俺が火をつけた、俺を逮捕してくれ」と告げ、両腕を突き出す

□逮捕後の留置場での様子
意味不明の発言を繰り返し注意される
「馬鹿が。親父のせいでこんな目にあったんだ」
「戦争が始まるぞ。毒ガス6パック持ってこい」などと発言



公判は、被告人質問などを経て17日に判決が言い渡される予定です。

北海道ニュース24