札幌の音楽ホールKitara（キタラ）改修工事で2年間休館へ 夢の舞台を目指す児童「寂しい」コンサート運営会社にとっては“死活問題”なぜ2年も？
2025年05月29日(木) 20時42分 更新
札幌の中島公園内にある、音楽ファンに親しまれている札幌コンサートホール「キタラ」が長期にわたって休館することになります。
1997年にオープンした札幌コンサートホール「Ｋｉｔａｒａ」。
老朽化のため2028年度から改修が行われる事になりました。全面休館は約2年に及ぶ見込みです。
長期休館のワケと、音楽界に広がる影響をもうひとホリします。
◆夢の舞台「キタラ」を目標に練習を重ねる児童
・藤田忠士記者
「パンパン（手を叩く）。響きますね～」
発した音が2秒以上も響く、世界トップクラスの音響効果を誇るキタラ。
大小2つのホールをあわせて、5月も30本ものコンサートが開かれていて、プロ・アマの演奏者にとって欠かせない場所です。
札幌市の新琴似北小学校のブラスバンドは、2023年にキタラでの全道大会を勝ち抜き、全国大会で金賞に輝きました。
小学生たちは、夢の舞台「キタラ」を目標に日々練習を重ねています。
・6年生 星にのん部長
「キタラでの演奏でいい賞をとれたのが本当にうれしかった」
・6年生 藤木結都副部長
「思い出のあるキタラが使えなくなるのはちょっと寂しい」
今、低学年のこどもたちが6年生になるころ、キタラは改修で使えない可能性があります。
・新琴似北小学校ブラスバンド 指導者 三上充教諭
「小学生の吹奏楽、金管バンドなどの団体にとっては、夏のコンクールでは必ずと言っていいほどキタラで演奏しているので非常になじみ深い場所。（改修は）致し方ないと思うが…」
◆コンサートの運営会社にとっては死活問題
キタラの休館は死活問題だという人もいます。
札幌でクラシックコンサートの運営を行う会社です。
手がけるコンサートの9割をキタラで開いています。
オフィス・ワン 渡辺裕文代表
「（コロナ禍の）4年ほど前にも8か月間改修で休館し、そのときも大変だったが
・オフィス・ワン 渡辺裕文代表
「毎年やっているものを1回休むとか、半年後に延期するとか、いろいろと策を講じて、ほかのホールを使いなんとかしのいだ。しかし2年となるとどうしていいのか、ちょっと見当もつかない」
代わりのホールとして挙がる「ヒタル」は同じ程度の座席数ですが、多目的ホールのため、オペラやバレエなどとも競合し、使用枠を確保できるかはわかりません。
◆なぜ改修に2年も…キタラならではの特殊な作業
・札幌市秋元克広市長 （会見）
「（キタラの改修は）現時点で具体的な設計などには入っていないが、期間についてはおおむね2年程度を考えている状況です」
なぜ改修に2年が必要なのか？市の担当者にキタラを案内してもらいました。
・藤田忠士記者
「課長、ここ、ここ。すごいじゃないですか壊れちゃって」
・札幌市 建築保全課 松本丈史課長
「どうしても30年近く使っていくと損傷が出てくるところもあるが、ふだんは客の通路になっていないので、この状態になっている」
タイルやじゅうたんの張り替えだけなら2年はかからなそうですが、時間を要する設備は目につかないところにありました。
・札幌市 建築保全課 松本丈史課長
「こちらは作ったお湯をためておくタンク。お湯や水を館内に送る装置」
「キタラの建物は非常に大きいので、館内へ送るにはこれくらいの規模になる」
また換気をするファンも4基更新します。
・札幌市 文化振興課 手塚祐史課長
「特殊な空調機器を使っているので、空調の音が極力、抑えられる設備を備えている。世界水準のコンサートホール」
・藤田忠士記者
「今、空調切っているんですよね」
・札幌市 文化振興課 手塚祐史課長
「今、空調入っています」
・藤田忠士記者
「え、これで？（静寂）…え、本当ですか」
このほか、パイプオルガンの大掛かりなオーバーホールなど、キタラならではの特殊な作業も発生します。
・札幌市 建築保全課 松本丈史課長
「１回壁をはがして配管を直して、また壁の修繕を建物全体でやる建設業も週休2日で工事をする流れになっているので、あまり無理をかけないという形で進めていきたい」
◆キタラで定期公演を行う札幌交響楽団
「改修工事の具体的な説明を受けておらず、対応策は未定。工期の詳細が決まれば、ファンの期待に最大限応えられるよう最善を尽くす」
◆キタラ改修工事
〇過去2回の入札で参加業者なし⇒着工予定を数か月延期
〇3回目の入札に業者が参加⇒落札業者が施設を調査し、正式な工事期間を決定
待っている人が多いので、工事をするにしてもなんとかスムーズにいってほしいですね。