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備蓄米の流通でコメ価格が値下がり傾向 飲食店などへの備蓄米放出決定も、のしかかるハードルの高さ 有識者は全体価格が3000円まで下がらない見立て

2025年06月30日(月) 16時37分 更新

最近お買い物の時に「コメが少し安くなった?」と思っている方もいるかもしれません。

道内外で備蓄米の流通が進み、コメの価格が値下がりに転じています。

和久井有紀乃記者
「午前9時前です。MEGAドン・キホーテ新川店に来ています。整理券を求める人たちの長い行列ができています」

先週末、札幌・北区のディスカウントストアで販売されたのは、政府との随意契約による備蓄米。

コンビニでの販売も、さらに広がりました。




「どこ行ってもやっぱり5キロ4000円近くとかなんで、2000円台だとやっぱり助かりますよね」

備蓄米の流通で下落に転じた、コメの小売価格。

宮城大学・大泉一貫名誉教授
「下がり幅が大きくなったわけですよね。そういう意味では市況が動き始めたのかなという感じがしています」

夏に向けてコメの価格はどうなるのか、深掘り取材します。

農水省が発表した、全国のコメの小売価格です。

5キロ税込み4400円程度で高止まりしていたものの、随意契約の備蓄米が出回り始めた5月末ごろから値下がりし、6月22日までの1週間は、3835円になりました。

札幌・北区のMEGAドン・キホーテは28日、2022年産のいわゆる“古古米”を、5キロ2139円で販売。



用意した280袋が完売しました。


「(来たのは)朝5時半。『行ってきて』と言われた」


「大変助かります」

セブン-イレブンでも28日、札幌全域で2021年産の無洗米を発売。

2キロ775円で、各店最大10袋のみの販売で、約1週間かけて、道内全域に拡大していく方針です。




「米は主食なので、なかなかつらいなとは思っていたんですけども、値段が下がってきて、だいぶ落ち着いてきたので、このまま続けばいいなと思います」

政府はさらに、弁当業者や飲食店にも備蓄米を放出すると決定。



小泉進次郎農水大臣
「全体のコメのマーケットに対しても、より価格高騰の抑制につながるようなことを考えた一つが、中食外食給食、こういったところの皆さんもニーズがありますから」

飲食店を訪ねると、コメは引き続き不足しているようです。



でか盛り海鮮問屋本部・遠藤久芳社長
「こちらですね…昔はもっと山積みであったんですけど、いまはこれだけ。 2日後、3日後のコメが足りるかどうか、そういう状況の中で営業をしています」

札幌市北区にある、デカ盛りがウリのお店。

看板メニューは、羅臼産のブリやシメサバなどが味わえる「海鮮丼」で、その重さは、なんと1キロ!

道内外に7店舗を展開し、毎月1トンのコメを使いますが…



でか盛り海鮮問屋本部・遠藤久芳社長
「いま仕入れているコメは(以前の値段の)ほぼ倍になっていて、非常に困っています」

備蓄米を仕入れたいところですが、外食事業者が申し込めるのは、最低10トンから。

あまりにも高いハードルです。

でか盛り海鮮問屋本部・遠藤久芳社長
「(購入するなら)いまの10倍使わなければいけないので、いまの段階ではちょっとまだ入手できない現状です」

必要な人に対し、まだ十分いきわたっていない備蓄米。

それでも、コメの流通に詳しい専門家は、コメ全体の価格が着実に下がっていると指摘します。

宮城大学・大泉一貫名誉教授
「小売りや卸業者が持っていた銘柄米は、『価格を引き下げないと売れないぞ』となってきた」

コメの価格は、以前のような水準まで下がるのでしょうか。



宮城大学・大泉一貫名誉教授
「小売りさんがどこまで損切りできるか体力の問題。あまり3500円以下には下がらないと考えています」



■コメ5キロの平均価格の推移

今年3月ごろから4000円を上回り、4月には4400円前後に達していましたが、5月末に随意契約による備蓄米の流通が始まると、4週連続で値下がりし、6月22日までの1週間は、3835円になりました。

■今後の見通し

宮城大学の大泉名誉教授は、備蓄米の流通が進んで、全体価格は3500円前後まで下がるとみています。

ただ、農家からのコメの買取価格が上昇しているため、3000円までは届かないのではということです。

■全国的な暑さによる新米への影響は

宮城大学の大泉名誉教授によりますと、懸念点がいくつかあるということです。

まず一つは、道外の厳しい暑さ。それから「水不足」が心配されています。

さらには、最近話題になっている「イネカメムシ」という、イネの養分を吸ってしまう害虫が道外で大量発生していて、これらの原因によって、新米の収穫量に影響してしまうことが懸念されています。

北海道ニュース24