SNS×選挙 情報溢れるネット社会…真偽不明とフェイク情報の懸念 ファクトチェックが“表現の自由”侵害する可能性も【参議院選挙】
2025年07月04日(金) 16時43分 更新
いよいよ始まった参院選で各候補者が力を入れるのがSNSの発信です。
一方、有権者はネット上に溢れる情報にどう向き合えばよいのでしょうか。
北海道帯広市に住む会社員、腰山椋太郎さん(32)。
政治家の演説や会見を編集してネット上に投稿する、いわゆる“政治系切り抜き動画ユーチューバー”です。
政治系ユーチューバー 腰山椋太郎さん
「これはいま、テロップを入れる作業をしていますね」
運営する「ガッツリ国会Ch~葉子の政治解説~」の登録者数は1900人。
腰山さんが共感した政党や政治家の発言を中心に取り上げ、これまでに30万回再生された動画もあったといいます。
政治系ユーチューバー 腰山椋太郎さん
「自分の作った動画に対して、政治的な見解やコメントする人が増えたときが、自分の発信によって議論が行われているという、そう思う瞬間が原動力になる」
2013年に解禁された、いわゆる「ネット選挙」。
有権者がSNSを使い、政治に関する情報を発信したり、得たりする機会が一気に増えました。
中原達也記者
「Xで『参院選』と検索すると、政治的な主張や切り抜き動画が多く投稿されています」
SNSで情報を得やすくなった半面、懸念されるのが真偽不明の情報や“フェイク”と呼ばれる嘘の情報の拡散です。
6月下旬、オンライン会議を行っていたのは、民間のファクトチェック団体「インファクト」のメンバーです。
ジャーナリストや大学生らがボランティアに近い形で運営するインファクト。
今回の参院選でも、党首討論や政見放送での発言を検証することにしています。
一方、編集長の立岩陽一郎さんは、ファクトチェックがネット上の表現の自由を侵害してはいけないと警鐘を鳴らします。
インファクト 立岩陽一郎編集長
「今回の参議院選挙で、ネット上の市民の発言を仮に新聞などがチェックして、それを排除していくようなものになっていくとすれば、これはかなり実は危険な兆候だと私は思っている」
では、私たちはSNSに溢れる情報にどう向き合えばよいのでしょうか。
メディアリテラシーに詳しい北海道大学大学院の城山英巳教授は、「一度立ち止まって情報と向き合うこと」が必要だといいます。
北海道大学大学院 城山英巳教授
「情報って、本当に事実なのかどうかを見分けるのって非常に難しいわけです。一人一人のSNSを受けてる意識次第で、社会がより混乱するような、分断するような状況が生まれてくるというようなことが大きなデメリットになるのでは」
いまや生活に深く入りこんだSNSの情報。
投票に向けて真実かどうかはわからなくても、確からしい情報を読み取る知識や能力が私たちにも問われています。