札幌でのクマ人身被害…捜索するも発見できず警戒続く、札幌市は「見つかれば駆除を優先」フンの分析からエサ不足が判明、今後も出没する可能性
2025年09月29日(月) 19時23分 更新

男性がクマに襲われてから、初めての登校日となった29日。札幌市西区平和の幼稚園や小学校では、多くの保護者が園児や児童に付き添いました。
■捜索するも発見できず…警戒続く
・小学1年生の保護者
「完全にいなくなって安心できるまではついていきたいなと思う」
・幼稚園生の保護者
「(クマが)結局どういう個体かって分からないですからね。心配ですね、どうなるのか」
・宮形徹カメラマン(26日午後9時半ごろ)
「公園内には、警察官と銃を持ったハンターが駆けつけています」
被害があったのは26日午後8時ごろ。住宅街にある平和丘陵公園で、犬の散歩をしていた43歳の男性が、前から来たクマに襲われました。
・堀内大輝キャスター(29日午後0時半ごろ)
「クマは住宅の隣にある自動販売機のあたりから公園に入って、あずまやのあたりを通りまして、男性がいた遊具の前で鉢合わせになったということです」
男性が身を守ろうと右腕を前に出したところ、クマに引っかかれ、とっさに抵抗すると、クマは逃げていきました。
クマは2頭いて、親と子とみられています。
・近所の男性(27日午前7時半ごろ)
「人を襲うって、しかも犬の散歩…多分知ってる人かもしれないし、ひと事ではない」
・近所の女性(27日午前9時ごろ)
「獣の威嚇するような声は聞いていた」
現場の公園は、住宅街の隣にあり、近くには高齢者施設や小学校もあります。
・堀内大輝キャスター
「現場となった住宅街は、すぐそばに定山渓などに続く広い山があり、この公園はその山と住宅地をつなぐ境界線になっているところと言えます」
今回のクマについて、札幌市は「市街地に出没した個体」だとして駆除を前提としたパトロールなどを行っています。
しかし、現在まで、クマは見つかっていません。
■札幌市「関与のクマが見つかれば駆除を優先に対応」
29日午後には、公園と林の境目に電気柵を設置しました。
・札幌市環境局環境都市推進部 環境共生担当課・清尾 崇 熊対策調整担当係長
「公園の部分と森の部分の境目に電気柵を設置することで、ヒグマがまた降りてくる要因を一つ下げる.。今回の事故に関与しているクマが見つかれば、駆除を優先に対応していくことになると思う」
札幌市西区には「ヒグマ警報」が出されていて、30日も登下校中のパトロールを続けるということです。
■現場で見つかったクマのフン
フンを調査した札幌市によりますと、フンの中身は草が8割を占めていたということです。
この時期エサになる、ヤマブドウ、コクワが見当たらないことから、相当山の中に食べ物がないことが言えるということです。
29日山に入った担当者は「全然山の中にドングリなどが落ちていなかった」と話していました。
今後も食べ物を探しに住宅街に出没する可能性は十分考えられるということで、注意を呼びかけています。
■相次ぐクマによる人身被害 理由と対策
クマの生態に詳しい酪農学園大学の佐藤善和教授にその理由や対策を聞きました。
◇酪農学園大学 佐藤喜和 教授
2025年は2024年に比べ明らかに多くのクマが、人の生活圏の中に出没していると思う。
背景には今秋、冬眠前の主食となるナラのドングリなど、木の実類が不作・凶作の傾向にあることが大きく関係している。
公園・川沿いの樹木に、例えばクルミの実のような木の実がついてる場合はそれを求めて出てきているので、特に山沿い・公園・河畔林など、そういったところの近くには近づかないということが大事。
人の生活する、特に札幌などは市街地のすぐ裏山でクマたちが育っているので、そういう意味では、人がいること自体には、それほど驚かないというか、人への警戒心は低い状況かと。
もしかしたら私たちのところにも出るかも知れないと、少し念頭に置きながら、日常の活動をしていただければと思います。
■日常生活での注意点
クマの出没情報があったとき、日常生活で気を付けたいことをまとめました。
・犬の散歩は?⇒公園や川沿いの歩道など避け、街中を。犬がクマも刺激する可能性もあり。
・ジョギングは?⇒山沿い・川沿いを避ける。出没情報あれば控える。
・ゴミ出しは?⇒収集日の朝に出すよう心がける。飲食店などは臭いが出ない工夫を。
・子どもの登下校や通勤通学は?⇒熊鈴を持つことも有効。夜間は簡易ライトを持つことや周囲に気を配る。特にイヤホンは外して、音が聞こえるようにする。
道内どこでも、クマとのあり方をより一層、考えなければいけない時期に来ています。