格闘家・朝倉未来さんの紹介動画でバズった『虫の心配がない土』親子で描く近未来 中東の乾燥地帯で新鮮な野菜を…狙うは2030年サウジアラビアの万博
2025年04月19日(土) 08時13分 更新
HBCの放送で反響が高かった 『虫の心配がない土』。
特許を取った北海道大学スタートアップの親子は、海外事業に向けた「夢」に向かって次のステージに踏み出しました。
2024年の秋、YouTube上で、ある”園芸動画”が話題になりました。
■格闘家 朝倉未来さん“ギャップ萌え”で話題
格闘家 朝倉未来さん
「こいつ(パキラ)を買って2年くらいたつのかな」
格闘家の朝倉未来さんです。
格闘家 朝倉未来さん
「虫、雑菌の心配がないという…」
緑と触れ合う格闘家の園芸シーンは、”ギャップ萌え”すると話題に。
SNSのコメント
「世界平和すぎてかわいい」
「かっこいい培養土があるんですね」
格闘家 朝倉未来さん
「あれ?こういう感じなんだ。(土が)白い…」
使われていたのは、北海道大学のスタートアップ企業が発明した「土」です。
■反響が続々…海外展開へ 有名企業が関心
一般的な腐葉土と違い、「土」なのに「無菌」。
虫の心配がないため、キッチンや職場などの屋内でも、葉野菜や根菜類が育つのが、最大の特徴です。
商品化したのは、元北海道三笠市の職員の荒磯慎也(あらいそしんや)さんと、父親で北大名誉教授の恒久(つねひさ)さん。
ラテラ 荒磯恒久 会長
「試行錯誤と失敗の連続でやってきた。」
ラテラ 荒磯慎也 社長
「今月、支払いどうしよう!みたいなものは、日常茶飯事だった」
社員は親子ふたりだけ。
HBCは2度に渡って親子の挑戦を放送。
すると、大きな反響がありました。
2人が訪れたのは、札幌市清田区にある草花を扱う専門店です。
店では、根が付いたまま育つ植物を市内のスイーツ店やレストランなどへ納品しています。
オーナーの野瀬さんは、テレビで「虫の心配がない土」を知り、2人に連絡をとりました。
花葉花 野瀬真希子 代表
「たまたま夕方のニュース番組を見てまして、室内で植物を楽しみたいけど、土が苦手だという方もいらっしゃるんです。土を否定するわけではないんですけど、レストランやテーブルの上は、清潔を保つのがマストなので…」
この日は「無菌の土」を使って、植物を植えてみることにしました。
ラテラ 荒磯恒久 会長
「不肖、わたくしが…こういう感じで。あ!」
白い土に生き生きとした緑が映える作品ができあがりました。
ラテラ 荒磯恒久 会長
「そういえば最近、売り上げどれくらいになってるの?」
ラテラ 荒磯慎也 社長
「1日、10万円を超しています。『在庫が足りません』とAIが言ってくるか。明日は事業計画を作るかな…」
3月、大きな転機が訪れました。
■海外展開を視野に“本気”の商談
ラテラ 荒磯恒久 会長
「どういうことになっても柔軟に対応しましょう」
「低姿勢でね、むこうがどんなに上から目線でも…。はーって。ひきつってもいいから!」
商談を持ち掛けてきたのは、海外でも事業を展開している国内有数の大手日用品メーカーです。
大手日用品メーカー
「お疲れ様です。よろしくお願いします。HBCの12月に放送された番組『今日ドキッ!』を、遅ればせながら先日拝見して…」
打ち合わせ相手は、海外事業部門を取り仕切っているトップ。
この日が初対面です。
企業秘密のため、打ち合わせは非公開で行われました。
約1時間後。
ラテラ 荒磯慎也 社長
「きょうは具体的な話もあったので、本気度が違うというところで、本当にお付き合いしてもいいのかもしれない会社さんと、ようやく出会えましたと思いました」
この日の商談を機に、2人は海外市場へ舵を切ることを決断しました。
■狙うのは2030年サウジアラビアの万博
そして、新たな研究拠点へ踏み出します。
そこは、道内の様々な国立大学や、ベンチャー企業などが集まる「エア・ウォーターの森」です。
農業分野を中心に、産官学が、共同で実証実験を行うなど、北海道の社会課題の解決に向けて取り組む”開かれた”イノベーション施設です。
エア・ウォーター北海道 事業企画部 棟方裕介 リーダー
「北海道の技術革新や農業革新につながるのであれば、我々としてはありがたい」
その先を目指す”夢”を打ち明けました。
ラテラ 荒磯慎也 社長
「私たちが狙っているのは、次の万博。2030年なんですけど、サウジアラビアのリアドで開催が決まっているので、リアドの万博でメロンを展示できるような野望を持って出資をしてもらう」
親子が描く未来は、中東の乾燥地帯で新鮮な野菜や、甘みのある北海道原産の果物栽培。
父と子のベンチャーの夢は、日夜、膨らみ続けています。
■農業法人や投資会社も熱視線
森田絹子キャスター:
最新の動きとして、屋内で果物を栽培する道内の農業法人からも声がかかり、本州の大学系の投資会社から出資の話も入ったそうです。
一方で投資会社との交渉も。
モノづくり大国の日本から芽を出した北海道発の農業技術は5年後に実を結ぶのか。
成長に期待したいと思います。