校舎の老朽化と児童数の減少 札幌市内でも小学校統合の動き 狙いは人口減少を見据えた「効率的なまちづくり」 地域では通学時間増や安全に心配の声も
2025年06月09日(月) 16時38分 更新
北海道札幌市の豊平区にある2つの小学校が新たに統合されます。
子どもの数が急速に減り続けるなか、札幌市の街づくりも転換点を迎えています。
9日、札幌市の教育長に手渡された意見書。
札幌市豊平区内にある2つの小学校を統合するという内容です。
梶原小春 記者
「統合されるのはこちら、1955年に開校した旭小学校と…1881年に開校した豊平小学校です。新しい校舎はこの豊平小の敷地に建てられます」
2つの小学校があるのは札幌の中心部から車でおよそ10分の「豊平地区」。
統合の背景にあるのは、2つの校舎の老朽化と旭小学校の児童数の減少です。
旭小学校は、元々、1955年に豊平小学校を分割する形で開校しましたが、1957年の1332人をピークに児童数は減少の一途で、今は、208人にまで減っています。
指針では、小学校のクラスが12学級未満になると見込まれると統廃合の検討対象となりますが、旭小学校は、この10年間、目安を下回り続けています。
4年前から地元で2つの小学校の再編に向けた協議を重ねた結果、2025年3月、統合に合意しました。
豊平地区学校配置検討委員会中川昭一代表委員
「一番大変だったのは、合併するならどちらかの学校がなくなるということ、豊平小に吸収されるんじゃないかっていう噂、決してそうではなくて一緒になって、新しいもの作るんだよ(と進めた)」
統合した小学校には新しい名前がつけられる方針です。
校舎の建設開始の時期はまだ未定ですが、完成には6、7年かかりそうです。
気になるのは統合で広がる児童の通学範囲です。
旭小学校の通学区を含む範囲が新たな通学区となります。
梶原小春 記者
「旭小学校の学区の一番端から、新しい小学校が建てられる豊平小学校まで歩いてみます」
「こちら大通りの道なんですが車通りが多くて自転車とすれ違うこともあるので、小さい子供が歩くのは少し危ないところかもしれません。」
「豊平小学校に到着しました。かかった時間は約29分です」
大人の足で、歩いておよそ30分。
小学生、低学年には大変な距離になりそうです。
地域の人
「新しい学校になるならいいのかな、ここの道が大きいのでちょっと心配」
地域の人
「最近だと気温も高くなっているし治安も色んな方がいるので安全面も考えると近い方がいいのはあるけど、少子化問題もあると思う」
札幌市は新校舎の建設に伴い、隣接する豊平まちづくりセンター・地区会館や児童会館も再編する計画です。
狙いは人口減少を見据えた「効率的なまちづくり」です。
今、札幌では豊平区、東区、南区の6つの場所で小学校の再編計画が進められています。
札幌市教育委員会・学校配置マネジメント担当課長・日比野篤さん
「学校にまちづくりセンターや地域の人が集まる場所も一緒にしますし、学校を通じて、地域の皆さんが集まってくれるような場所が増えていければいいなと思っています」
地域にとって最も身近な公共施設の「小学校」。
その姿が変わることは、街の形も変わることを意味しています。