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出没するクマに対する猟銃使用に「新たなガイドライン」市街地は“市町村判断”で発砲可能に…専門家「市町村職員が駆除従事者と十分なコミュニケーションを」

2025年07月11日(金) 18時42分 更新

「クマ出没市町村判断で市街地の発砲可能に」今週、新しいガイドラインが公表されました。

市街地にクマが出没した場合、”市町村の責任”で猟銃が使えるようになります。

2025年も北海道内の各地で相次いでいる、クマの出没。

カメラに映る姿は、人間の生活圏までクマの行動範囲が広がっていることを、改めて認識させられます。そんな中、8日。

環境省が猟銃使用に関する「新たなガイドライン」を公表。

それは、「市町村の判断で市街地でも特例的に猟銃が使用できる」というものです。



北海道猟友会砂川支部 池上治男支部長
「自治体が(責任について)ものすごく重きを持った状態」



酪農学園大学 佐藤喜和教授
「かなりケースで、そういった市町村の判断によって速やかな対応ができるようになったのではないかと」



改正法によって、新しく示されたガイドライン。今後、クマ対策はどう変わっていくのか、もうひとホリします。

環境省 浅尾慶一郎環境大臣
「ガイドラインを自治体の方に、よく理解してもらって、新しい法改正のもとで戸惑うことなく対応ができるようにしていきたい」



鳥獣保護管理法の改正で9月から市街地でも特例で猟銃使用が可能になったことを受け、環境省は8日、具体的な手順などを示した「緊急銃猟(じゅうりょう)ガイドライン」を公表しました。



猟銃使用の条件は、次の4つ。

クマなどの危険鳥獣(ちょうじゅう)が…

①住居や道路など人の生活圏に侵入していること

②人への危害を防止する措置が緊急に必要であること

③捕獲などが銃猟以外の方法では困難であること

④銃猟によって人の生命身体に危害が及ぶおそれがないこと



これらの条件すべてを満たす場合に、市街地での発砲が可能になります。

法改正の背景にあるのは、人の生活圏におけるクマの被害です。

(2021年札幌市東区)「いたいたいた、クマいました!」

4年前には、札幌市東区の住宅街にクマが出没。

次々と人を襲い、4人がけがをしました。

これまで住宅が密集している市街地での銃の発砲は原則、禁止されていて、ハンターは警察官の許可がなければ発砲することができず、迅速な対応が課題となっていました。



今回の改正法では、市町村の判断で市街地でも特例的に猟銃が使えるようになり、ガイドラインには、住民の安全確保や周囲の通行規制など、市町村の判断基準が細かく記されています。



北海道猟友会砂川支部 池上治男支部長
「これ(クマが)通ったところ、獣道」

砂川市のハンター、池上治男さんです。

砂川市内では6月から、クマの出没が増えていて、クマが通りやすい場所をパトロールするなど、対応に追われています池上さんは、2018年、市の要請で市街地に出没したクマを駆除したところ、住宅に銃弾が届く恐れがあったとして、北海道公安委員会に猟銃所持の許可を取り消されました。

今回のガイドラインについては…

北海道猟友会砂川支部 池上治男支部長
「(発砲について)警察がここに関与していないようだから、それも警察の協力も必要なのではないか。だからそういうときに「ここの場所で撃てる」とか、市町村職員が事前チェックしていくようなことが絶対に必要」

専門家は、市町村の責任は重くなったとしつつも、スピード感のある判断ができることを評価しています。

酪農学園大学 佐藤喜和教授
「市町村の判断で、もう少し迅速な判断ができるという点では評価できる。安全かつ問題を起こさずに実施するためには、市町村職員が駆除の従事者たちと、十分なコミュニケーションをとっておくこと、そして信頼関係を構築しておくことが非常に重要だろうと思う」

主や市町村の役割がこちらです。

▼安全を確保するための措置として「住民の避難誘導」や「道路などの通行制限」

▼ビデオカメラなどで記録(任意)

▼土地への立ち入りの際に「場所の管理者や地権者との調整」

▼ホームページや広報車で呼びかけ

▼「緊急銃猟による損失の補償」も市町村の責任になります

自治体の担当者はどう受け止めているのか。札幌市の担当者に聞いたところ…

▼役割が多いため「平時の人数では足りないので、他部署にも協力を要請する」

▼札幌市は人口密集地のため「どこまで安全配慮できるかが肝になる」

▼発砲の判断については「判断は難しいが、やらないといけない」

酪農学園大学の佐藤喜和教授は、安全な体制を作っていくためのポイントを挙げています。

▼緊急銃猟の「事例を積み重ねることで判断や事前準備のやり方がわかってくる」

▼研修や訓練などを通じて「市町村職員が知識や経験を身に付けることも重要」

北海道ニュース24