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HBCもんすけ調査隊

住宅街の”しだれ桜”知られざる物語 2021年5月13日放送

【森田アナウンサー】
視聴者からの疑問や悩み、
暮らしの中のハテナを調査する「もんすけ調査隊」です。
突然ですが、皆さん、日本三大桜って知っていますか?

「一生に一度は見たい」とも言われる三大桜のひとつ
福島県の三春滝桜(みはるたきざくら)が、札幌にもあるというのです!
住宅街の川沿いに咲く一本の桜を調査しました。

札幌市手稲区の旧軽川です。

地元では、川辺を散歩しながら、桜並木を楽しめるスポットとして知られていますが、番組にこんな「謎」が寄せられました。

【小樽市・メリーのママさん】
「札幌市手稲区旧軽川沿いの三春滝桜の謎を調べてほしいです。福島県の国の天然記念物の桜と、どの様な関係なのでしょう」

福島県三春町の「三春滝桜」。
無数の花が、流れ落ちる滝のように見えることから「滝桜」と呼ばれるようになりました。

そんな立派な桜が、手稲区に?
「半信半疑」で川沿いを探してみると…。

【調査員】
「これ、しだれ桜じゃないでしょうか。これです、ありました、しだれ桜。そして、三春の滝桜と看板も書いてあります。これで間違いなさそうです。たしかにしだれていますね」

これが今回、調査対象の桜の木。
幹には、手書きで「天然記念物」「三春の滝桜」と書かれたあやしい看板が。

【花見客】
「『天然記念物 三春の滝桜』…たぶんむこうから持ってきたんだろうね。(本当に福島から来たか知っていますか?)それはわからない」
「(どこから来た木かご存じじゃないですか?)ぜんぜんわからん!」

そこに、毎年、この旧軽川の桜を撮り続けているという男性が!
桜を管理している人を知っているということで、さっそく電話してもらいました。

【電話をしてくれた男性】
「こっち管理していないの?…そうですか、誰に聞いたらわかるんですか?…わからない、そうですか…」

しかし、管理していたのは旧軽川の隣=「軽川の桜並木」。
結局、このしだれ桜のことはわからないままです。

手稲区役所に聞いても…
地域のまちづくりセンターに聞いても…古い資料は残っていません。

手稲区の「三春滝桜」の謎。
はじめての迷宮入りの可能性も出てきました…

日本三大桜のひとつ、福島県の「三春滝桜」が札幌に!?
この「しだれ桜」は、何か「ゆかり」があるのでしょうか。

近所の聞き込みを続けたところ、「桜に詳しい、松浦さんという人がいる」とのこと!
訪ねてみると、庭に立派なしだれ桜が!

【松浦亨さん】
「(三春滝桜と看板が付いた桜を誰が植えたのか探していたのですけれども)それは、父ですね、私の父です。もう亡くなりましたけれども」

話してくれたのは旧軽川の近くに住む松浦亨さん。
桜の看板を見てもらうと…

【松浦亨さん】
「私知りませんでしたこれは。父の字ですね、懐かしいです、はい」

旧軽川にあの桜を植えたのは、亨さんの父、松浦稔さんでした。

【松浦亨さん】
「もともと私のところ(家系)は北海道に入植するまえは福島でございますので、なんらかのチャネルで福島から手に入れた。そういうものでは」

7年前に亡くなった稔さん。
肝心のしだれ桜をどこで手に入れたのかを直接聞くことはできませんでした。

「人がダメなら、桜に聞け!」。
そこで、私たちは、木の専門家、樹木医の金田正弘さんに桜を見てもらいました。

【樹木医・金田正弘さん】
「(この桜は福島県の三春滝桜と同じ品種?)まったく同じですね。難しい言葉でいうと、同一=クローンという」

手稲区の「滝桜」は、福島の「三春滝桜」と同じベニシダレという品種。
しかも種では育ちにくく、一般的に「接ぎ木」で苗木を育てます。

【樹木医・金田正弘さん】
「この穂木をとって台木を真ん中から割ってこれを接ぎ木すると。び~っと伸びていく。だからこれと同じものを増殖することが可能。人間ではちょっと考えられない、臓器移植みたいな。植物ではそれが可能なんですよ」

接ぎ木の苗木は、親の木と遺伝子が同じ。
子や孫、ひ孫と接ぎ木を続けても、まったく同じ遺伝子の桜が生まれるのです。

手稲区の「滝桜」も、あの日本三大桜の「三春滝桜」のクローンでした。

【樹木医・金田正弘さん】
「立派に(花が)ついていると思います。これを残すというのが我々の世代の役割かなと強く感じますよね」