やさしく伝える 防災コラム

防災全般

「防災さんぽ」で地域のリスクを知ろう

森山 知洋気象予報士、防災士、HBC気象キャスター

災害が起きたときに被害を最小限にとどめる取り組みを紹介する今日ドキッ!で放送中のシリーズ「備えて減災」。今回は、『防災さんぽ』です。

防災さんぽとは?

『防災さんぽ』は、防災の目線で近所を散歩することを意味します。

こちらの画像は、どちらも札幌市内にある小学校にある看板ですが、ここに〇や×の表記があるのをご存じでしょうか?

左の表示がある学校は大地震の時に、耐震強度などが不十分で避難所として開設されない場所、右は洪水や土砂災害などの大雨時には避難場所に使用できないことを示しています。

〇×に注目!避難場所の看板(画像)

公立の小中学校などの耐震工事は、道内で96%以上進んでおり、地震時に避難できない×の学校はほとんど無くなってきてはいるものの、川や斜面が近くにあり、大雨の時に避難所にならない学校は、少なからず存在しています。

防災さんぽの具体例「札幌市中央区宮の森地区」

こちらは住宅地を静かに流れる「琴似川」。「琴似川」は札幌の盤渓から宮の森や二十四軒などを通って新川と合流する二級河川です。

ハザードマップで確認すると、普段の穏やかなイメージとは違い、川沿いの浸水想定はかなり広くなっており、この辺りの住宅地は、最大で3メートル近い浸水が想定されています。3メートルというと1階の天井まで浸水してしまう水の深さです。

今回の防災さんぽでは札幌市の防災アプリ「そなえ」のシミュレーションの機能を使ってみました。

札幌市中央区宮の森地区のハザードマップ(画像)

大雨時に避難所として使用できない宮の森小学校、バーチャルイメージでみると0.5メートル~3メートルの浸水が表示されます。

学校周辺の住宅地では川に近い場所を中心に最大5メートル・2階の天井まで水に浸かる恐れがあります。

こちらは、琴似川から500mほどの距離にある中央区の日新小学校です。

避難場所としての看板表示は、洪水時にも避難所として使用できる「○」になっていますが、こちらも最大5メートルの浸水が想定されているため、この小学校に避難する際は、3階以上への避難が必要という条件が付いています。

中央区で大雨の時に使用できる緊急指定避難所の小中学校のうち、半数以上が学校の2階以上への避難が必要なのです。

宮の森地区には、傾斜地も多く、土砂災害の危険個所もあります。

傾斜地で土砂災害のシミュレーションを見てみると、大きな岩や土砂が崩れてくる可能性があるというイメージが表示されます。

この区域は大雨などにより崖崩れの危険性が高く、早めの避難が必要とされる地域です。自分の住む地域にどのようなリスクがあるか、「防災さんぽ」を通じて、実感することが重要です。

歩いたところを地図に落とし込んでみると…

今回歩いた琴似川沿いの地域の地図に、気になったポイントを落とし込んでみました。
歩いてみることで川からの距離感や、崖や斜面の傾斜なども実感できます。川から距離があっても、浸水想定が深い場所が周りより少し低い土地になっているというのもわかります。

今回の防災散歩で使用した札幌市の防災アプリ「そなえ」は、無料でスマホにダウンロードして使用できます。
「そなえ」では、スマホの位置情報の機能をオンにすることで、その場所の浸水や土砂災害のシミュレーションを確認することができます。また、避難場所の情報についても、どの災害種別で使用可能かが一目でわかる機能もあり、いざという時に役立つアプリです。

今回の防災さんぽでは、もう少し足を延ばして、こんな場所もチェックしてみました。

もう少し足を延ばして…

こちらは琴似川の水位観測地点です。宮の森よりも下流の西区八軒に設置されています。普段は穏やかな川ですが、危険水位くらいまで上がると、相当危ないということがわかります。

水位観測所のデータは「川の防災情報」のWEBサイトでいつでも見ることができ、観測所の普段の状態を確認しておくと、川が増水した際に、危険性を感じ取れるようになります。

身近な公園には、ライフラインがストップした時に必要になるこんな場所も存在します。『緊急貯水槽』と書いており、ここは大地震などで断水した時に、給水場所となる公園です。緊急貯水槽は、現在、市内に42か所あり、およそ72万人が3日使える貯水量を確保しています。

防災さんぽをしてみると、いざという時に役立つかもしれないたくさんの発見があります。

「防災さんぽ」で夏の大雨シーズンに備えよう

洪水時、場所によっては、避難所の方が自分の住む場所よりも浸水の危険性が高いという場合もありますので、こちらが一つのポイントになります。

避難とは「難を避けること」(画像)

避難とは「難を避けること」で、避難所に行くだけが避難ではありません。

例えば、自分の家よりも安全な近所の知人の家に一時的に身を寄せることなども考えられます。逃げ遅れた場合でも1階から2階以上に移動する「垂直避難」という最終手段もあります。最適な避難方法を「防災さんぽ」をすることで日頃から確認しておくことが重要です。

「防災さんぽ」で適切な避難手段を確認(画像)

臨時の給水場所や川の観測地点など何気なく生活しているだけでは気づけない場所も多いです。これから夏の大雨シーズンがやってくる前に家族と一緒に「防災さんぽ」をぜひやってみてください。

<参考リンク>
■札幌市防災アプリ「そなえ」
https://www.city.sapporo.jp/kikikanri/apri.html
※一部機種のスマートフォンでシミュレーションが正常表示されない場合があります。

■川の防災情報
http://www.river.go.jp/kawabou/ipAreaJump.do?areaCd=81&prefCd=&gamenId=01-0202&refineType=1&fldCtlParty=no&fvrt=yes

森山 知洋 プロフィール

資格:気象予報士、防災士、健康気象アドバイザー など。
平成14年に気象予報士を取得後、民間気象会社勤務を経て、現在はHBCウェザーセンターにて、気象キャスターとして活動。
日本気象予報士会北海道支部長も務め、北海道防災教育アドバイザーとしても全道各地で防災講演などを行う。

※掲載した情報やプロフィールは更新日時点のものです。

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