やさしく伝える 防災コラム

地震・津波

福島県と北海道 被災地の“思い”つなぐ合唱曲

今日ドキッ!

北海道函館市に住む、作曲家の佐々木茂さん。
去年10月、佐々木さんが作曲した合唱組曲「決意のあいだ」が、函館の合唱団によって初めて披露されました。

(函館MB混声合唱団 伊藤喜久雄さん)
「演奏している最中にも涙ぐみたくなるような部分がある」

作曲のきっかけは、4年前に起きた胆振東部地震の1か月後に掲載された新聞広告。

福島県に住む詩人・和合亮一さんが北海道民に送った4編の詩でした。

(詩の朗読)
「手をつなぎませんか。そうして生きていきませんか。わたしもまた悲しくて、いつも手探りしています」

和合さんは2011年、東日本大震災で被災し、その経験を詩にして、さまざまな場所で発表を続けてきました。

(詩人 和合亮一さん)
「北海道で地震があり、みなさんがそれにさいなまれて悲しみ苦しんでいるということを感じたときに、福島で経験した歳月がまざまざとよみがえった。分かち合いたいと思った。その分かち合いの気持ちを言葉にした」

(作曲家 佐々木茂さん)
「手をつなぎませんかとか、分かり合いませんかとかの言葉がある。なんでもない詩でしょ。でもなんでかわからないけど、ぐっと来るものがあり、震えたんですよね」

詩を見た佐々木さんは、作曲を開始。
何度も何度も書き直しながら、思いを伝えるメロディを生み出しました。

(合唱)
「あなたと同じなのです、分かち合いませんか」

(作曲家 佐々木茂さん)
「ひと事のように生活してきた。今回これに取り掛かり、申し訳なかったなという気持ちが芽生えて、演奏会当日も涙が出た。しょく罪の気持ちが自分の中に出た。いつもこうやって話すと涙が出てくる、申し訳なかったと」

詩が歌になることを、「言葉に翼が生えたようだ」と和合さんは表現します。

(詩人 和合亮一さん)
「言葉にしただけでは書ききれなかった『なにか』を歌は届けてくれるように思う。これから震災後の時間と向き合っていくことの一つとして、歌を心のどこかに置いていただけたら嬉しい」

福島県と北海道、時間と空間を越えてつないだ願いが、震災の記憶とともにメロディとなって響き渡ります。

※掲載した情報やプロフィールは更新日時点のものです。

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