卓田の「これ聴いてみればいいっしょ」 バックナンバー

2023年10月

10月29日の1曲

「クリスタル モーニング」石川優子(1979年)

卓田のひとこと

ポプコン出身のれっきとしたシンガーソングライターであるにもかかわらず、デビュー当時はそのキュートなルックスからアイドル的扱いで売り出された彼女。デビュー曲「沈丁花」は他者から提供されたJ-POPとは程遠い、演歌に近い感じの歌謡曲。2ndシングル「レット・ミー・フライ」でようやく自作の曲をリリースできたもののヒットには至らず、再びプロの作家から提供を受けてリリースしたのが、3rdシングル「クリスタルモーニング」です。作詞は三浦徳子、作曲は小田裕一郎という、松田聖子さんの「青い珊瑚礁」や「風は秋色」、杏里の「キャッツ・アイ」などをヒットさせたコンビです。この曲は本人出演の「コルゲントローチ」のCMソングとなり、初めてオリコンにチャートイン。最高位62位に入るスマッシュヒットとなりました。CMは石川優子さんがこの曲を歌って「喉がスーッとします。コルゲントローチ。」というものでしたが、八重歯が印象的な可愛いルックスもさることながら、まさにこの曲の歌詞通り伸びやかな「透き通る声」がとても印象に残りました。

10月22日の1曲

「翼の折れたエンジェル」高橋研

卓田のひとこと

1985年に中村あゆみさんがリリースしてヒットした同名曲。その中村あゆみさんをデビュー当時からプロデュースし、この曲の作詞・作曲・編曲も担当したのが高橋研さんです。私と同郷の岩手県出身。この曲、実は中村あゆみのために書き下ろした曲ではなく、元々高橋研さんがライブで歌っていた曲。中村あゆみさんがライブをするにあたって曲数が足りないということで、未発表だったこの曲をライブで歌わせてみたところ評判が良く、シングルとしてリリースすることになったそうです。なので、今回おかけした高橋研さんのバージョンは、セルフカバーというよりいわば「原曲」。女目線に書き直す前の、男目線の歌詞に一部なっているところがポイントです。高橋研さん、現在シンガーソングライターとしても活動しており今年の8月には通算7枚目のオリジナルアルバム「Free Bird」をリリース。10月27日~29日にかけて北海道内でライブもあります。そして、10月29日(日)の音タクに生出演予定です!お楽しみに。

10月15日の1曲

「あの頃のように」障子久美(1991年)

卓田のひとこと

当時TBSの金曜ドラマとして放送された「それでも家を買いました」の主題歌で、オリコン最高位12位のヒットとなりました。現在40代後半~60代くらいの人は「ああ、そんな曲あったね。」という感じで覚えているかも知れません。障子久美さんは滋賀県出身のシンガーソングライターで、松任谷正隆さんが立ち上げた音楽学校「マイカ・ミュージック・ラボラトリー」出身のアーティストで、デビューから松任谷さんがプロデュースを手掛けていました。2ndシングルとしてリリースされたこの曲は洋楽テイスト漂うまったりとしたバラードで、とても心地良く、インパクトこそやや薄い感じはありますが、自らコーラスも多重録音でこなす多才ぶりで、タダならぬ音楽センスを感じます。

10月8日の1曲

「黄昏のBay City」八神純子(1983年)

卓田のひとこと

もともとこの曲は、リリース当初からディスコバージョンも作られ、ダンスフロアでのDJプレイを意識した曲でもあるので、DJ好みのナンバー。そこに八神純子さんの伸びやかなクリスタル・ボイスが絡んだことで上質なシティポップになっています。2017年頃から世界的にかつての日本のシティ・ポップが注目され始め、竹内まりや「プラスティック・ラブ」や、松原みき「真夜中のドア」といった曲が、海外のストリーミングチャートで上位に入ったりYouTubeの再生回数が急増したりする中、この「黄昏のBay City」が、パリのクラブでヘビーローテーションでかけられたり欧米でじわじわと人気が出てきました。さらに、ジャパニーズ・シティポップ・ブームの火付け役として知られる韓国人のDJ兼プロデューサー Night Tempoが、この曲を日本のシティポップの定番ネタとして取り上げ、2021年10月に八神純子さんの「みずいろの雨」とこの「黄昏のBay City」をリミックスしたアップデート・バージョンを配信リリースしたことで、完全にこの曲がジャパニーズ・シティポップの定番ソングとして知れ渡りました。

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