10月11日放送

 ここ数年、悟ったように日々心がけていることがある。それは、ただ単純に「自分よ、機嫌よくあれ」ということだ。一分一秒がご機嫌であれば、一日も一週間もご機嫌であるし、一生すべてがご機嫌なものになる。
 この「機嫌よくある」ためには、日々のちょっとしたスイッチが必要だ。例えば、否定的な言葉を使わない。自分自身にもそういう言葉を投げかけない。変えられないものにイライラしない。人を変えようと思わずに自分の受け止め方を変える。「なんとかなる」「ま、いいか」「大丈夫」と言ってみる。何はともあれ笑ってみる。心の中に飛び交う言葉を漫才師風の掛け合いにしてみる(→なぜか関西弁になって笑える)・・・などなど、書いてみれば他愛も無いことだが、ご機嫌力が積み重なればブレイクスルー力も鍛えられる。効果は絶大だ。
  そしてもうひとつ、気持ちを支えるためには健康管理や身体作りは欠かせないが、日々の中で案外マインドに影響するのが「肌の調子」だ。荒れたりカサカサせずにしっとりつるんとしていると、世界は自分の味方だ・・・ぐらいの満ち足りた気持ちになる。“心と身体、内側も外側もつやつやに”は、これからの時代のご機嫌キーワードだと、私は思っている。
 そう感じているのは私ばかりではないようで、ここのところの「コスメ」人気を見ても、綺麗でいたいということと心地よく日々を過ごしたいということとは確実に連動しているようだ。スキンケアやボディケアに関しては海外国内様々なメーカーがあり、成分や香りなどそれぞれの強みを競っている中、ここのところ北海道の農産物や海の資源などを活用した「北海道コスメ」も元気だという。

伊藤早織さん 今回の「ほっかいどう元気びと」のゲストは、その中のひとつ、遠軽町「株式会社 マイスター」の専務取締役の伊藤早織さん 42歳。オホーツクの小さな町から安心素材の化粧品を発信するその思いを聞かせていただいた。
 伊藤さんが故郷遠軽町に母親と会社を興したのは10年前。それ以前は、東京を主に、百貨店の美容部員、Webデザイナー、化粧品メーカーのマーケティングなど、転職を繰返し新たな自分の居場所を模索していた伊藤さんだが、時々遠軽に帰っているうちに、それまで見えていなかった地元食材の魅力が見えてきて、いつかこれらを使って化粧品が作れたらと思うようになっていったのだそう。30歳で決心して北海道へ戻り、出版社や化粧品の企画職を経て、2004年、地元の人達との繋がりが深い母親を社長に小さな町・遠軽から都市への逆発信を夢に「株式会社 マイスター」を立ち上げる。
 初めは地元の蜂蜜を使って保湿クリームや石鹸を作り、軌道に乗せてさらに地元のアスパラガスや枝豆を使ったスキンケア・ヘアケア商品を開発。意外なことに道外から通販を中心に人気となり、その後で道内のファンも増えていったという。
 保湿成分を含む蜂蜜を使ったスキンケアは他メーカーからもいろいろ出されているし、アスパラガスや枝豆も伊藤さん曰く、すでに化粧品の材料として活用されているものなので目新しいものではないそうだが、遠軽の収穫物を使うということはその素材への絶対的な信頼感があってのもの。蜂蜜は指定の養蜂家の菩提樹の花の蜜以外は使わず、しかもふんだんに配合し、アスパラガスなども生産者達とネットワークを結んで収穫されたそのものからエキスを抽出。畑の見える原材料というところが自信を持って勧められるとのこと。
伊藤早織さん 遠軽という小さな町は道外の人にはほとんど知られていないが、知られていないからこそ自由にその“遠軽という世界”を伝えていける。それはメリットに変えられると伊藤さんは言う。
 「土地の弱みを強みに。道外で人気が高まってから北海道へという“逆輸入方式”で」
 そんな逆転の発想で、現在は札幌にも置いているオフィスを全面的に遠軽に集約し、本当の意味で地域から発信する企業に変わっていきたいと語る。まさに真逆の考え方で、「遠軽に進出したい」と。ゆくゆくは、そんな「北海道コスメ」が作られている遠軽を訪れてみたい、原材料の畑を見てみたいと思ってくれる人を増やせるように、“風土そのもの”を発信出来る会社になっていきたいと10年後の未来予想図を楽しそうに語ってくれた。
 安心な化粧品を作りだす自然の大地を体感して貰おうという「コスメと観光」の展開。綺麗になりたい、心地よく元気でいたい、自然の恵みを感じたいという人達に、北海道がアピールする方法はアイディア次第でまだまだあるのだと感じさせて貰った。

 一昔前の“常識”といえば、地方から都会へ出ていき、一旗上げて業績を拡大し故郷へ錦を飾るというものだったが、今は、都会で多くの職種を経験後、故郷に戻って会社を興した伊藤さんのように、頼もしい“地殻変動”が地方で確実に起こっている。
 「元気びと」でお話を伺っていると、それらを発掘する人の思いをもっと知りたいと思うし、彼らが創り出すもの、発信するものをもっと知らせていくことも大事だと痛感する。
 北海道は、潜在力の宝庫。ここ一月ほどの「元気びと」出演者を振り返ってみると、伊藤さんの発信する今回の「北海道・遠軽コスメ」はもちろん、「ばんけい峠のワイナリー」の田村さんの作るワイン、砂川「いわた書店」の岩田さんお勧めの本、函館「鞍掛窯」の白岩さんの作る急須・・・それぞれが手掛けるものを使ってみたい、味わってみたい、読んでみたいと思わせるようなお人柄だった。
 生み出されたモノやアイディアの魅力は発信する人の魅力そのものだ。
 そんな人達の魅力を届けていくのが、「ほっかいどう元気びと」なのだと改めて番組の役割を再認識。ひとりひとりの取り組みがワクワク心弾むものであれば、きっとその周りの人達、その人達の住む地域が心弾む空気になっていくだろう。
 北海道全体がそんな空気に包まれるように、おひとりおひとりが育んだ“ご機嫌力”を、より楽しく、より深く、発掘していきたいと思っている。

(インタビュー後記 村井裕子)

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