2月22日放送

 目標を持つ人に対して、的確な問いかけによりその人の潜在力を引き出していく「コーチング」。コーチを受ける人自身がどこへ向かいたいのか、そのために何をしたらいいのかという自主性を重視しサポートする関わりだが、自分の傾向や強みなどを明確にする目的で「アセスメント(評価、査定)」を作ることがある。
 数々のチェック項目に答えていく、言わば「自分の棚卸し」だが、その中のひとつに「何に価値を置いているのか」を明らかにするためのチェックがある。行動や志向、信条を表す単語がずらりと並んでいて、その中から自分がいつも興味をそそられていると思うもの、惹き付けられていたものを20個ほど選び、最終的に5個選び出す。
 例えば、「挑戦する」「創造する」「ひらめく」「学ぶ」「体験する」「勇気づける」「優しい」「奉仕する」「啓発する」「情熱的である」・・・などなどの言葉。丸をつけているうちに、自分は〈冒険〉に価値を置いているのか、〈探求すること〉に価値を置いているのか、はたまた〈楽しさ〉を重視しているのかなどが浮き彫りになってくるのだが、中に〈美〉に関する単語も多数あり、これが結構選択に迷ってしまう。
 「美しい」「上品である」「洗練されている」「魅力的である」「愛らしくある」「輝く」「壮麗である」「気品がある」「趣がある」・・・女性としては出来れば全部にチェックが入りますと言ってみたいところだが、言語でイメージしてみると、改めて〈美〉というものには沢山の価値要素があるのだと気づいて面白い。

松本恵里香さん 今回の「ほっかいどう元気びと」は、その目に見えない「美」というものを通して人の成長を育む仕事に取り組む女性。「ミス・ユニバース・ジャパン2015」北海道大会エリアディレクターを務める「株式会社EM.Biz(イー・エム・ビズ)」代表の松本恵里香さん 33歳。北海道代表を送り出すための教育プログラムの考案から運営、トレーニングの指導全般を手掛け、さらに一般女性達にもそのノウハウを提供するためのセミナーなどにも力を注いでいる。
 今は、3月の日本大会に向けて北海道選出のファイナリストの仕上げに入っている段階とのこと。どんなトレーニングをしているのかを訊いてみると、真っ先に、「対話を重視し、何度も何度も問いかけている」という答えが返ってきた。
 勿論、ウォーキングや立ち居振舞いなども必要だが・・・と前置きして、挑戦する本人が「自分はどうなりたいのか?」「何を成し遂げたいのか?」という内側の思いに気づけなければ、大勢の前に出て自分をアピールすることは出来ないし、内面からにじみ出るものがなければほんとうの美しさとは言えない。そう真っ直ぐに語る。
 ここ最近のミス・ユニバースは、外面的な美に加えて、知性、教養、感性といった内面は勿論、人としての「成長体験」も重視されているのだという。その人がミス・ユニバースを目指すことでどうより良く変わって来たのか、どう自分で自分を成長させてきたのか。それがとても大切なことなのだ、と。
 それを引き出すのが、松本さんの役割。引き出して、成長のための体験に導き、目標に向かってサポートとするというのは、まさにメンターコーチそのものだ。
 そして、さらに、北海道エリアとしての体験で興味深かったのは、ファイナリスト達のトレーニングのひとつとして、農村でのビューティーキャンプがあるとのこと。農業体験を通して自分達の住む北海道という土地柄をより深く知ることで、北海道代表としての自覚と自信を深めることが出来、同時に「農業の仕事は貢献度が高いのだ」という実感を得ることで人としての成長にも繋がるのだという。松本さんの考える美のための人材育成は、体験から翻って自分はどう生きたいのかや何に貢献できるのかに気づかせる自己変革の要素に満ちていて、大いに共感出来るものだった。

松本恵里香さん そんなふうに、美というアプローチから人の成長を導く仕事に情熱を燃やす松本さんだが、向かっていく先が定まるまでに深い悩みの時期も経験しているという。
 舞台俳優への挑戦。美を追求してモデルやイベントコンパニオンで土台を作る日々。結婚、出産、そして、25歳で東京から札幌へ移住。専業主婦として子育てや暮らしの工夫に日々を費やすも、目標を見失った焦りが拭えず葛藤。そんな中で、「ミセスアジアインターナショナル」へ挑戦しようと行動を起こしたことで人が繋がり、今の仕事に繋がったのだという。
 人はやはり、何らかの目標を見つけ、勇気を出して行動を起こすことで、黙っていては味わえない達成感も手に入れることが出来る。そんな“行動法則”を自分の中に見つけられれば自信も自ずと付いてくるのだということが、松本さんのお話の中からも明確に伝わってきた。
 恒例の問いかけ、「あなたの宝ものは何ですか?」の松本さんの答えは、「人との出会い」。
 出会いを生かす為には、そのチャンスを逃さずに、「今がその時!」と思ったら全力で取り組むしかない、と笑う。その出会った人の力を合わせて北海道を元気にするのが今の私の目標ですと、ミス・ユニバースを通して北海道の良さをアピールしていきたいという熱い思いが溢れていた。

 松本さんが伝えたいミス・ユニバースの求める美は、その人の生き方そのものの美だ。
 前述の価値リストの中には、精神性を表す単語がいくつもある。「自立している」「自律している」「人を喜ばせる」「役に立つ」「誠実である」「尊敬される」「貢献出来る」。
 よくよく考えてみると、それらを価値にすることで、心が磨かれ、それはそのまま揺るぎのない〈美〉に繋がっていく。
 チャーミングな外見も勿論だが、内側に「私の人生、自分でどうしていきたいのか」の軸を持つ女性達、生きる姿勢そのものが美しい女性達が増えていけば、この世はもっと変わっていけるのかもしれない。

(インタビュー後記 村井裕子)

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