2月16日放送

 「探偵」と聞いて、どんな仕事を想像するだろう?
 すぐさま浮かぶ人物はルーペを手にしたシャーロック・ホームズや頭をかきむしる金田一耕助、はたまた北海道の我々なら「探偵はバーにいる」の“俺” か。いずれにしても、謎を解明し難事件を解決するという現実離れした仕事のイメージが強い。映画や小説の中でしかお目にかかる機会が無いということもあるし、職業として探偵になるというルートが明確にあるわけではないということも架空のイメージに拍車をかけるのだろう。
 そんなフィクションの薫りの強い「探偵業」だが、探偵ならではのノウハウを「地域や子供たちのために活用しなければ」との思いで仕事に取り組んでいる人が札幌にいるとのことで、「ほっかいどう元気びと」でお話を伺ってみた。
 実際に「探偵」という職業がどう社会と地域と住民と接点を持ちうるのか、「探偵」と「地域貢献」はどう繋がるのだろう。

片上潤さん ゲストは、小学校周辺の「地域安全マップ」作りを手がけ、子供たちを犯罪や交通事故から守ろうという取り組みを進めている札幌の総合調査事務所「ジグス」の代表で探偵の片上潤さん 53歳。
 “調べて、事実を解明する”のが探偵の仕事。そのために徹底した調査という活動が欠かせない。その経験や蓄積されたノウハウを用いて、小学校周辺の交通事故の起こりやすい箇所や不審者が隠れやすい場所など普段は気づきにくい視点で地図を作り、子供たちに事故や犯罪の防止として活用して貰おうというもの。これまで釧路や札幌、小樽の小学校の安全マップを作成しているという。
 交通事故要注意箇所で言えば、これまで事故があったり危険な事例があったりした場所はもちろん、運転手の目線で歩行者が見えにくい場所などをつぶさに調べて写真を撮り、注意喚起を促すというもの。不審者に関しては、不審者が隠れやすい場所と探偵が調査のために隠れる場所は似ているという視点から要注意箇所を挙げ、子供たちに「気をつけなければいけない」という意識を持たせるというもの。
 片上さんの一番の意図は、こういうマップに触れることで、何よりも「自ら危険を察知する」能力を小さいうちから伸ばして欲しいということだ。身の回りには危ない事が実は沢山ある。それを予め推測して避ける力を身につけ、大人になり全く見知らぬ他の街に行った時に、その危険予知能力を活かして自分で自分の身を守って欲しいという願い。犯罪に巻き込まれないで無事に生きていって欲しいという切なる思いがそこにはある。 

片上潤さん 折りも折り、札幌で小学生の行方不明事件が発生。無事でいて欲しいという祈るような日々を経て、大事に至らず無事に保護されたという安堵のニュースが流れた数日後の番組収録だった。そういった事件を未然に防ぐために何が出来るのかを子供たちや家族だけでなく地域に住む人も改めて考えなければならない。この番組も安全意識を掘り起こすきっかけになれればとの放送を担う我々の思いと片上さんの思いとが共通したものとなった。
 片上さんは言う。子供たちが自分自身で考える力を育て安全な行動を選択していけるように、そのきっかけ作りとして「地域安全マップ」などの取り組みは益々必要になってくる。すでに様々なことに取り組み手一杯の状態の学校にあれもこれもと要求し過ぎるのではなく、地域で関われる人がいろいろな形でサポートしていくことが大切、と。聞けば、片上さんの父親が教師だったことから学校の先生たちの忙しさを目の当たりにしていたので、子供を取り巻く何らかのお手伝いを出来ないものかと常日頃考えていたそうだ。
 そんな地域貢献の思いが背景にあって、今現在「安全マップ」はボランティアで取り組んでいるとのことだが、学校、地域、家庭が一体となって子供の危険を回避する手段作りとしての「安全マップ」の必要性を行政などにも働きかけていきたい、危険回避の大切さなどを実際に話して伝える機会も作っていきたいと、今後の目指す方向を語ってくれた。

 何かが起こった時に、学校や誰かを悪者にして終わりなどというのではなく、ひとつの事例から実際にどんな予防策が考えられるのか、その方法をどう日常で運用していくのか、瞬間瞬間で適切に判断出来る意識や力をどう植え付けていくのか・・、そこまで取り組んで初めて危険回避教育は実のあるものになっていくのだろう。マップは紙1枚だが、そこから何をどう浸透させていくか。そんな子供に関わる取り組みは、関わりの層が厚ければ厚いほど力を発揮する。
 片上さんの「探偵業」と「地域貢献」は、「子供を守る」がキーワード。
 いろいろな仕事をしている人が地域には居るが、改めてその「子供を守る」視点を取り入れて“自分の立場なら今何が出来るだろう”と考えることがこれから益々必要になっていくのだろうと感じた。
 そして、近所の“おばちゃん、おじちゃん”は、常日頃子供に声を掛けていくという、さりげないことだが案外効果の高い昔ながらの「見守り」を続けていくことも欠かせない。

(インタビュー後記 村井裕子)

HBC TOPRadio TOP▲UP