1月5日放送

三浦雄一郎さん 2014年、新春第一弾の「ほっかいどう元気びと」のゲストは、昨年、史上最高齢80歳と7ヶ月でエベレストの登頂を成功させた三浦雄一郎さん。  夢を叶える力はどこから出てくるのか、年齢を言い訳にせずに次々と目標を達成する精神力はどのように培ったものなのか、1年の最初にふさわしいお話を聴かせていただいた。
 8848m登頂の心境や、三浦さん流年齢への向き合い方、骨折や心臓手術といったアクシデントをも受け入れて「現状を楽しむ」心の持ち方、そして、家族の反応、次なる夢・・と、ウイットにとんだ数々のエピソードが表現力豊かに三浦さんから溢れ出る。
 改めて「すごい」の一語だ。その年齢、その意志、その実行力。でも、それだけではない「すごさ」がある。それは何だろう。人の魅力に通ずるような何か。
 インタビューが終わってあれこれ私の中で紐解いていたら、こんなキーワードがほろっと浮かんできた。
 「巻き込み力」だ。

三浦雄一郎さん 今回のエベレストの登頂は、もちろん三浦さんの身体能力や精神力、超ポジティブな考え方が成し遂げた賜物に違いないのだが、周りで関わる人たちの思いと実行力も筆舌に尽くし難く「すごい」ものがある。
 三浦さんの身体を細かくチェックしながら共に登頂した次男の豪太さんの心身両面のサポートを始め、ベースキャンプで刻一刻と変わる気象の分析などを担った長男の雄大さん、地上から熱い思いで応援し続けた妻や娘さんたちのファミリーの力の大きさ。高齢者向きの登山計画を練り上げて細心の注意で体調を管理した医療チームやサポート隊のスペシャリスト的能力、そして是非とも三浦さんの夢を一緒に叶えようじゃないかとバックアップした人たちの熱い思い。その人たちの力の結集が80歳の三浦さんを8848mまで押し上げた。それが、もうひとつの「すごい」ことなのではないか。
 そして、この人のために手を貸そう、夢を叶えるその一端を担おうと思わせるのも人としての大きな才能だ。三浦さんの中に元々ある「巻き込み力」が80歳でエベレストの頂上に立つという結果を生んだ。しかも、楽しく巻き込む。8000mでウニや蟹味噌の手巻き寿司を皆でわいわい食べ、8500mでお茶会を楽しむという発想の人が近くにいたら、喜んで「巻き込まれ」たくなる。その力は、違う表現にしてみると「人徳」でもあるだろう。

 そんな三浦さんも、60代の頃、世界7大陸の最高峰をスキー滑降で制覇した満足感からか、すっかりメタボ体型になり成人病のデパートのようになってしまった時代がある。
 その時、大ターニングポイントになったのが、父親の敬三さんの99歳モンブランスキー滑降計画。その父親の意志の力に触発され、自分もこうしてはいられないと発奮したのが、エベレストに登れる身体を作るトレーニングのきっかけだったそうだ。
 人を楽しく「巻き込む」才能の三浦さんも、人の度肝を抜く発想と実行力を持つ父親に「巻き込まれ」ている。
 「巻き込み力」は連鎖する。
 その力は、いろいろなことに気づき、発奮し、困難を乗り越え、やると決めたことを何が何でもやる・・その並々ならぬ熱意や本気度の集積が多くの人を引き寄せ、その気にさせるのだろう。
 そういう三浦さんを見て、私たちは大いに刺激を受ける。エベレストには登れないけれど、果たして自分は何ができるだろう、まだ伸ばせる力はないだろうかと自分自身を振り返り、自分の「山」を目指そうと思う気持ちになって動き出す・・そんな影響力が今、三浦さんから波紋のように大きく広がっているのではないか。
 「巻き込み力」の素敵な連鎖。その才能を持つ人の大きな役割。

 インタビューの最後で、私が「どうぞこの1年も良い年になさってください」とお礼の言葉を伝えた時に、三浦さんからこんな言葉が返ってきた。
 「良い年にしようと思えば、なる。良い年になるんだと思えば、誰でもそうなる」

 これぞ、三浦さんの真骨頂。思いと言葉で人生を切り開き、夢を叶えるためのセオリー。それは、何も難しいことではない。「思いは実現する」ということ。
 それぞれが夢を持ち、そして叶うことを信じて、本気でやれることをやれば、叶うのだよ・・という大事なことを言ってくださったような気がした。

 その真髄は、まさに、「ほっかいどう元気びと」でも大切にしていることだ。
 人の中にある「思いの力」。それを人はどう形にし、どういう発想や行動力で実現させているのか。
 この1年も、そんな、目に見えないけれど大切な「法則」を、「元気びと」の言葉で丁寧に届けていきたいと思っている。

(インタビュー後記 村井裕子)

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