10月20日放送

 「ひとりの青年が、遠く異国の地で野球指導に取り組みながら自分自身を変えていった青春ストーリー。ロケ地・富良野とブルキナファソ。主演・北の国でパン屋を営む野球大好き青年に大泉洋、その妻に綾瀬はるか或いは上戸彩」
 ・・・でドラマを作ったら面白いだろうな、とこれは私の勝手な妄想。
 幼い頃から「東芝日曜劇場」の北海道放送制作ドラマを目を輝かせて観ていたドラマ好きの私、感動する話を聴くと勝手にキャストをあてて想像を膨らませてしまう。
 今回の「ほっかいどう元気びと」出合祐太さん編は、まさにそんなストーリーに溢れていたので、ここはひとつ、あらすじ風にざくっとまとめてみよう。

出合祐太さん 富良野で野球に熱中していた出合少年。17歳の頃、青年海外協力隊の野球隊員が南米ニカラグアへ行くという新聞記事に出会い、夢のスイッチが入る。
 発展途上国で“野球を普及させる”という志を持ちながらパン屋に就職した後、JICAの隊員募集に合格し、2007年、西アフリカのブルキナファソへ。
 念願の野球指導員として意気揚々としたスタートと思いきや、世界最貧国と言われるその国で馴染みの薄い野球を根付かせるのは「到底無理」と思えることばかり。意味を見出せずに心が折れそうになる中、ひょんなことから現地の少年達に野球を教え始め、真摯に取り組む彼らの中に、そして出合青年の中にも大きな変化が起こっていく。・・・

出合祐太さん ひとつひとつ紐解かれるエピソードは前向きなエネルギーに溢れ、私はその真っ直ぐさに何故だか涙が出そうになってしまったが、最初からポジティブだったわけではないと出合さんは言う。勇んで行ったブルキナファソで想定と違った時には「これでは無理、無理」と言ってしまうごく普通の若者だったと。
 変わっていったのは、やはり「出会い」。野球に目を輝かせるブルキナファソの子ども達にその面白さを教えているうちに、出合さん自身が最も成長していったのだ。
 出合コーチは考えたと言う。
 「何かを普及しようと思ったら、“人がそれを求める気持ち”にならなければ根付かせることは出来ない。そのために体験させたりイメージをさせたりする関わりが大事」と。
 しかも2年という期限が決められた中で何が出来るか。自分が帰国してしまうと指導者はいなくなる。では、どういう野球をさせたらいいか?
 そのキーワードは「自立」。人に頼らない野球。
 出合さんは、少年たちに「今、自分が何をしなくてはいけないか」を考えさせる働きかけを徹底して続けた。彼らの可能性を決して否定せず、信じることに決め、要は「人を作ることから」という思いで関わったと。半分無理かなと思いつつ、半分はそうなったらいいなと理想を描いていたと話す。
 2年が経ち、互いを尊重し合いながら楽しそうに野球をしている少年たちを見て、出合さんは確信したのだそうだ。「大切なのは、信じること」だと。
 「お前なら出来る」とひとりひとりを信じ、言葉とビジョンを明確にして関わっていく中で、出合さんも彼らから信じられていったのだ。

 出会っていく人をより良く変えて、そして自分自身も今いる場所から少しずつ坂道を登るような成長を遂げるストーリー。私はそういう「ドラマ」が大好きだ。何かを叶えようとする人を見ることで自分自身の力もまだまだ引き出せるようなファイトが湧いてくる。

 出合さんのストーリーは1クールでは勿論終わらない。ブルキナファソ編の後は地元富良野で物語が引き継がれる待望の続編が待っている。
 富良野の子供たちを集めて、野球の楽しさをもっともっと伝えていきたいというのが、今は富良野でパン屋を営みながら「ブルキナファソ野球を応援する会」代表を務める主人公の夢の続き。

 「無理無理、絶対に無理」と言ってしまうどこか後ろ向きだった青年が、ドラマのクライマックスではこんなセリフを熱く語るのだ。
 「ボクがブルキナファソで学んだことは、絶対出来ると“信じること”だ。君たちも野球を通じて信じてみようよ、自分の力を!」

 あとは、そう、夕陽に向かって全力で走るだけだ。
 to be continued・・・!

(インタビュー後記 村井裕子)

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