9月15日放送

 HBCラジオ「ほっかいどう元気びと」のHPには聴取者プレゼントの応募フォームがあるが、番組の感想や思いのこもったメッセージを書いてくださる方もいて、私はそれを読むのを毎回楽しみにしている。
 先日、道外の女性からはこんなメッセージが。
 「ネットサーフィンをしているうちにこの番組にたどり着きました。ほっかいどう元気びとの方々のバックナンバーを夢中で視聴させていただくうち、暑さも時間も忘れてしまいました」
 HPでは、番組のインタビュー部分だけ音声で聴けるようになっていて、北海道を離れた方が懐かしく聴いているという感想もいただくが、道外の方がインターネットを通して偶然「ほっかいどう元気びと」に巡り会い、バックナンバーでこれまでの「元気びと」の声に触れているというのは、なるほど今はそういう時代なのだとびっくりし、嬉しかった。しかも「オール北海道で明日への新しい活力を生み出せそうなそんな元気をいただいた」とのこと。
 北海道の人たちの取り組みやその思いが確かに届いている。それに触れた誰かが共感し、触発されているとしたらなんて素敵なことだろう。インターネットは知識や情報を取りにいくものという認識が強いが、人の思いも繋ぎ、そこからさらに何かに繋がっていくとしたら、「思いの連鎖」も何倍にもパワーアップしていけるに違いない。

鹿内幸四郎さん 「繋ぐ」というキーワードは、「元気びと」に登場する皆さんの共通言語でもあるが、今回のゲスト、「一般社団法人・相続手続支援センター札幌」常務理事の鹿内幸四郎さんもまさに「繋ぐ人」そのもの。
 鹿内さんは、一般の私たちがわからないことだらけの相続手続きや遺言作成をサポートする主任相談員の仕事を担っているが、障がいのある子どもを持つ親の気持ちに寄り添い、遺された子が困らないようにと助言・支援する活動も同時に行っている。
 最近、「終活」という人生の終わりに向けた準備の意識が高まってきて「エンディングノート」の活用も注目を集めているが、障がいのある子に残すためのエンディングノートは、親と子の絆の証しであり、その子がその後も生きて行くための大事な道標でもある。
 鹿内さんが中心となって制作を進めた「親心の記録・札幌版」と名付けられたそのノートには、遺される子どもの生育過程を記入する欄や、病歴、かかりつけの病院、本人の経歴、性格、いいところを書き込む欄もある。そして、最後の方には、「支援マップ」という本人を取り巻く地域や仲間、サークル、福祉サービスなどを書き込むページ。
 一般のエンディングノートと違うのは、遺された子を誰にどう「託したいのか」をはっきりとさせ、そのためには「繋がりをひとつでも多く持つ」という大切さが伝わってくる。どんな状況であっても、大事なことは障がいを持つ人を「孤立させない」ということ。そのために、手を繋げる人たちや場所をどう作っていくかなのだと。

鹿内幸四郎さん 恒例の「宝ものは何ですか?」の問いの答えは「縁」。
 サン=テグジュペリの「星の王子さま」の「一番大切なことは目には見えない」を引用し、「目には見えないけれど、縁というのは絶対にあるんですよ」と話す。強くアクセントが置かれた「絶対に」には、目には見えない沢山の体験や実感が込められているのだろう。
 縁を信じる鹿内さんの「繋ぐ」使命は、外へ外へと開けている。
 仕事に向き合う姿勢もやはり「人との繋がり」。ひとりでは出来ることが限られるけれど、「出来る人はいませんか?」と仲間を作って出来ることをどんどん増やしていくことで大きなものが返ってくるという仕事哲学も熱く語ってくれた。
 まだ若かりし岩内の会計事務所員時代。つても何もない札幌での事務所進出を任された時、葛藤の末にその方法を思いついて実行し成果を生み出した経験に根ざしているそうだ。
 ひとりひとりを仲間にしていくことで、友達がまた友達を作る。その友達が繋がっていくと、「出来ないことはひとつもない」という奇跡が起こってくる。そうやって、仕事をシェアして(分け合って)いると、「ありがとう」が積み重なっていって、やがてより良いものやさらなる仕事がシャワーのように降ってくるようになる、と。
 人も自分も幸せになる、この時代だからこそ大切にしたい「成功法則」。今を時めく「倍返し」はこの場合「ありがとう」の倍返し、いや十倍返しというわけだ。

 そうやって仕事に取り組むと、本当に楽しいと満面の笑顔で語る。すべてに楽しんで取り組むことが最大のコツと。
 実際にお話をしていると、エピソードや「小ネタ」が差し挟まれて、鹿内さんの周りの空気が青空の下にいるような感じになる。「わかりやすい相続の話」などのセミナーや講演も多いそうだが、「みのもんた」風よりも、「綾小路きみまろ」風の方が女性たちを惹きつけると大真面目で話し、「元気びと」女性スタッフを笑わせる。
 鹿内さんは、障がいを持つ子と親に寄り添うサポートの活動を始めたきっかけは、我が子も生まれながらの障がいを持っていたからと番組の中でも話してくれたが、収録後のやり取りの中で、夜も眠れないほどの絶望の時期もあったという心のうちも明かしてくれた。
 そんな中で獲得した「すべてのことを楽しむのがコツ」という思いは深い。
 人は、何かが起こった時に「逃げない」「立ち向かう」という選択をすると、強く、優しく、すべての一瞬を慈しむという気持ちになるのだと改めて気づかせて貰ったひとときだった。

 帰り際、HBCはドラマ「半沢直樹」を放送している局だと気づいた鹿内さん。
 「一緒に番組のポスターの前で写真を撮って貰ってもいいですか?」と人気ドラマへの熱い思いを語り、ナイスショットが撮れたと満面の笑顔で帰られた。
 すべてを楽しむ力。それは素敵な才能だ。

(インタビュー後記 村井裕子)

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