4月14日放送

 人にはそれぞれ人とのコミュニケーションの仕方があって、コーチングスキルの中には「そのタイプを知ってひとりひとりに合わせた対応をしよう」というアプローチ法がある。
 4つの特徴に分類されたコミュニケーションタイプを把握することで自分と他の人たちの傾向を知り、向き合い方のバリエーションを身に付ける 「タイプ分け」というスキルだ。
 縦軸横軸で4つの区分けをし、縦軸の上の方が「自己主張」が強く、下の方が弱い。横軸の左が「感情表出」が少なくて、右側が多い。
 簡単なチェックをして自分はどのタイプなのかを知るのだが、「自己主張」が強くて「感情表出」が少ない、その4つのマスの左上にくるのが『コントローラー』。一言で言えば、自分で「決断したい」タイプ。コントロールされるのが嫌いで、単刀直入を好む。話し方は無駄なく、結論をハッキリさせ、スピードが速い。
 同じ「自己主張」タイプ でも、 軸の右上の「感情表出」の多い『プロモーター』は、「影響したい」タイプ。自分がやっていることが人を喜ばせたり感動を与えたりする、その影響力がエネルギーの源。ひらめきと直感で行動を起こし、周りを引っ張って行く。話し方は抑揚があって楽しそう。瞬発力はあるが飽きっぽく、コツコツと継続していくのは苦手。
 同じく「感情表出」は多いけれど「自己主張」が弱いという右下に来るのが『サポーター』。このタイプが大事にしたいのは「周囲との合意」。まず他の人達の思いや意向はどうなのかに敏感に気を配り、自分の意見は最後の方で伝えるか、或いは出さない。人の援助を好み、協力関係を大事にする傾向が強く、物事の決断には時間がかかる。
 「自己主張」が弱く「感情表出」が少ないのが左下の『アナライザー』。特徴は、常に「正確でありたい」と願っていること。このタイプにとって大事なのは「それが正しいかどうか」なので、行動の前に多くの情報を集め、分析し、計画を立てる。常に客観的で冷静、洞察力も高い。正確さを重視するため話し方はゆっくりで回りくどい。真面目だが頑固で融通がきかないと言われるのはこのタイプだ。

西村淳さん もし、閉ざされた狭い空間で1年間9人で生活せよと命令されたら、あなたはどのタイプの行動をするだろう?どんなタイプの人と一緒にやって行きたいだろうか?
 今回の「ほっかいどう元気びと」のゲストは、「南極料理人」としてテレビの料理番組やエッセイでもおなじみの西村淳さん。海上保安庁在任中の1989年と97年に南極観測隊員に選ばれ調理担当の設営隊員として従事、のちに著作が大人気になり映画のモデルにもなったその人である。特に二度目の第38次隊は、地球上最も過酷と言われる平均気温-57度の「ドームふじ基地」で越冬。とてつもなく厳しい環境は想像を絶するものだろうが、その9人の男たちの暮らしぶりを抱腹絶倒の日々として書き記すという、超ポジティブな「面白」南極料理人である。

 西村さんは、言うまでもなく『プロモーター』だろう。
 料理人として任命された西村さんは、隊員たちのストレスがたまらないように数々のユニークな企画を実行したという。食事サロンを寿司屋のカウンターにして本格的に寿司を握ったり、看板を作ってバーをオープンさせたり、あえて外でバーベキューしたり、時には正装してディナーを楽しんだり・・・。
 「人間は無駄なことをするとストレスがなくなる。やらなくてもいいことをやることで生活に潤いが出る」というのが西村さんの暮らしを楽しくする秘訣。
 ひらめきと「これをやったらみんなが喜ぶ」というプロモーター気質は、海上保安官を退職してからの第二の人生を生きる上でも多いに発揮されている。無駄なく材料を使い、簡単で、しかも美味しく楽しい料理メニューを次々と発案し、レシピ本や料理番組で「やってみて!」と発信し続けている。

西村淳さん 人はいろんな人がいるから多様性が保てて、世の中のバランスも取れている。
 南極観測隊は研究者と設営隊員との混合チームだそうだが、じっくりとマイペースで研究に取り組むアナライザータイプの研究者に、決断を下すコントローラー要素の強いリーダー、そういう人達を支える事に喜びを感じるサポータータイプの設営隊員がいて、暮らしに彩りを添えてくれるようなプロモーター的存在が生きてくる。まさしく4つのタイプが本来持つべきより良い力を発揮するからこそいろんなことがうまくいくのではないかと、私達の生活をギュッとコンパクトに凝縮したような南極での越冬話を聞いていて感じた。
 寒さや閉鎖的な環境の過酷さも勿論大変だろうが、そういう場所で人との関わり方をどう工夫されたのかに興味があって質問してみると、西村さんは一言「イライラしている人がいても、そんなの放っておく!」。そうして、美味しいご飯を作って「みんなで食べる」。
 プロモータータイプは、いいかげん・・・いや「良い加減」に行動するのも持ち味だ。
 西村さんは、極限状態では人間の遺伝子がONになって思いもよらない力が出るものだと話されていたが、人が元々持っていた「自分と違う人とうまくやっていく力」も甦ってくるのかもしれないと、興味深かった。

 人はひとりひとりみんな違う。そこを分かって「いいところ」をどんどん伸ばし合うことで、まだ発揮されていない力も引き出されていく。
 ちなみに、それぞれのタイプへの有効な「ほめ方」もちょっとずつ違うが、一番「ほめられて元気が出る」のがプロモータータイプだ。ひらめきと行動力で突き進むこの人達は「あなたのおかげで楽しかった、会えて良かった」と声をかけられることで泉のように力が湧いてくる。
 何を隠そう、私も典型的プロモータータイプ。意気に感じて木にも登る。どんどん登る。
 あなたの周りにもそんな人達がいたら、どうか、気分良く高い木に登らせてあげてください。

(インタビュー後記 村井裕子)

※【参考資料】「タイプ分け for Coaching」株式会社コーチ・エィ

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