4月15日放送

小松加奈さん 夢を叶えるというのは、いったいどんな力が働いての結果なのだろう。

 今回のゲストの小松加奈さんは、中学生の頃に劇団四季の「ライオンキング」東京公演を観て衝撃を受け、「私も舞台のあちら側に立って、あの『ナラ』を演じたい」と強く思ったことが、今に繋がっている。
 高校卒業後、進路に思い迷うことなく入団してわずか4ヶ月後、18歳でナラ役に大抜擢。去年の春にオープンした北海道四季劇場でロングラン上演中の「ライオンキング」の舞台で堂々歌い踊り、観る私たちに勇気と感動を与えている。

 お話を聴いていてすぐに伝わってきたのは、なりたいと思ったらまっしぐら進む「ブレの無さと意志の強さ」だったが、なるほどと思ったのが、自分でどんどん突進するというより、「導かれる」力をどこかで信じているということ。
 何かの流れに乗るその「機」を掴み、その流れのなかで自分を最大限に活かすことが出来るということが、なにかとても大きな「持ち味=強み」ではないかと感じた。
 そして、それは、その時々でふさわしい人をも引き寄せるという、一生ものの強み。

小松加奈さん 「あなたの宝もの何ですか?」と訊くと、「今の私に関わっているすべての人たち」という答がそれを物語っている。「今、夢が叶って舞台に立てているのは、親は勿論、私を導いてくれた沢山の方々がいるから。子どもの頃から、そういう人たちに背中を押されて、ここまで来られたのだと思います」と話す。
 周りの方々のことを更に訊いてみると、子どもの頃から皆がプラスの言葉をかけてくれたのだそうだ。「あなたは絶対できる」「あなたは上に立つ人になると信じている」。中学の先生、お母さんの職場の人、勿論親御さん。夢を阻む後ろ向きや否定的な言葉をかけられることはなかったと。

 「人の潜在能力と言葉は連動する」。
 言葉を仕事にしてきた私の、これは確信だが、まさに、小松さんはそんな能力を引き出され、行くべき道に導かれてきたのだろう。
 そして自分自身でも「私はナラになる」と紙に書いて思いを育てたそうだ。
 自分の中に、ある日蒔かれた種。それを枯らすことなく、水や養分を与え続けることで、その芽は真っ直ぐに太陽の方へ向かっていく。
 「舞台俳優 小松加奈」という花は、自分で自分を信じて水を与え続けたということも勿論だが、周りの人たちがお日さまの方に向けてくれたというところが大きな力の源なのだろう。何かを与えられると自ずと感謝が湧いてくる。それが自分の自信になり、また何倍もの力になる、というように。

 コーチングスキルの中に、「存在承認の言葉掛け」という、人のやる気を伸ばし、力を引き出し、互いの人間関係をより良くしていくためのスキルがある。
 言葉通り、「あなたの存在を私は認めています」という言葉掛け。
 よく言われる「褒(ほ)めて育てる」というのも「存在承認」に含まれるが、「上手だね」とか「えらいね」という「あなた」が主語の「褒める」行為には、言葉を掛ける人の「評価」が加わる「上から目線」になり、勿論その時々で効果もあるが逆の作用をすることもある。
 「存在承認の言葉掛け」は「あなたを認め、あなたがやっていることを見ているよ、肯定しているよ」という、いつでもどこでも誰に対しても万能の言葉。「あなたがいてくれて良かった」や「あなたが頑張っているのを知っているよ」「毎日練習に励んでいるのを見ると私まで嬉しい」など、「あなた」ではなく「私」が主語になることが多い。
 人は「ここにいていい」「この私でいい」「見て貰えている」という確信を得ることで、「私は生きていていいのだ」という根源的な力に繋がる「自己肯定感」が育まれる。そういう安心感の言葉のやりとりが、人の中のまだまだ眠っている力を引き出していくのだ。

 小松さんは、北海道四季劇場の「ライオンキング」を日々こなす中で、緊張が極度に高まる本番前、「大丈夫、できる。私は大丈夫」と自分に声を掛けるそうだ。
 周りから貰ったプラスの言葉が、人の中で何倍にもなり、その溢れるエネルギーがまた他の人を元気づけていく。
 私が彼女の舞台を観た後、帰り道の自分の歩き方が「ナラ」のようになれた(ような気がした)のは、そんなエネルギーに呼応したのだろう。

 「人の潜在能力と言葉は連動する」。
 小松さんを「作ってきたもの」「夢の叶え方」などを紐解くことにより、私の中でもうひとつの役割である「話し方講座」や「コミュニケーション講座」で分かち合いたいことがさらに明確になってきた。
 あなたは価値のある人という「存在承認の言葉」の循環が世の中に溢れ、人がもっと自分の中にある力に気づき、夢を叶えていく連鎖。
 その種をこれからも蒔き続けていきたい。

(インタビュー後記 村井裕子)

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