10月9日放送

 私にはこの三十年来、その生きる姿勢や心の深さに共鳴し、尊敬してやまない大好きな大先輩がいる。先日上京の折にお会いすることになり、何か気持ちのこもった手土産をと考えた。
 黒千石…そうだ!黒千石がいい!

西村孝司さん 「ほっかいどう元気びと」のインタビューで、免疫学の西村孝司教授から「北海道特産の黒千石は免疫力を高める優れた食材」というお話を伺ったばかり。私自身も毎日のご飯に混ぜていて美味しさは体感済み。
 「是非、この北海道の黒千石を食べて貰いたい」。
 久々に訪ねていく彼女は日常の忙しい仕事に加え、3.11東日本大震災後に被災地の人の心を支えるための活動も続けていて、かなりお疲れは溜まっているはず。とにかく、身体にいいものを摂って貰い、さらにこれからも役割を果たしていただきたい・・そんな思いでご飯に混ぜて炊くものとお茶のタイプを持参した。
 健康を願う思いと共に手渡せただけで、もはや免疫力がアップしたような・・そんな気になり、嬉しい気持ちが北海道に戻ってきた後でもしばらく続いている。

 大好きな人に健康でいて貰いたい、元気でいてほしい…人と共に生きる人が持つかけがえのない感情だ。
 農家の方々の尽力で、絶滅しかかっていたものが今に蘇ったという北海道の黒大豆「黒千石」。この小さな黒い粒の中に身体にいい成分が豊富に含まれているということを研究で実証して、製品化のサポートにも尽力している北海道大学遺伝子病制御研究所教授の西村孝司さんが医学の道に入ったのも、大切な人の病気と向き合った辛い経験があるからだそうだ。

西村孝司さん 実のお母さんと、その後に継母として西村さんを育ててくれたお母さん。そのふたりの母を相次いで癌の病で奪われたことが、癌を撲滅しようと免疫学の世界へ足を踏み入れたきっかけなのだという。
 新ワクチンなどの開発により「免疫学でがんを克服し、多くの患者さんを救うこと」と、身近な食材などの研究を通して「免疫学者として、道産子として、北海道を元気にすること」、この2つをテーマとして挑み続けている。

 免疫力を上げるためのいろいろなお話を伺っていて、浮かび上がってきたキーワードは、「少し前の日本に戻そう」ということだった。「健康」を手に入れるために、高額な費用をかけてさらに何かを「入れていく」よりも、日本人は日本人に合った食生活を取り戻すということが大事と、力説されていた。
 欧米人とは元々腸など内臓の作りが違うのだから、日々摂取すべきものも自ずと違うのだということ。また、若い妊婦が今風のスタイルを維持したいからと栄養不足のダイエットを続けていると、生まれた子どもは過剰に栄養を摂取しようとするので肥満児を作ってしまうということ。
 新しいものがすべていいとやみくもに取り入れ、前に進むのではなく、「行き過ぎを戻す」「足を知る」「バランスをとる」というところから、意識の組み換えをしていかなくてはならないのだ。
 何かに似ている、と気づく。そう、今の時代の喫緊の課題とキーワードが一緒ということに。なるほど・・・そうなのか。すべては根っこで繋がっている。
 経済至上主義の浮かれた暮らしを、欲をふくらませた生活をしているうちに、現代人はご丁寧に自分の身体にもともと備わっている調整機能を少しずつ壊してきたのだ。そして、精神の上手な調整機能をも。今はしっかりと立ち止まり、そのすべての根っこが何であるかを考えなくては、いろいろなことが「手遅れ」になってしまうだろう。
 西村さんの情熱溢れるお話を伺って、またひとつ「たいせつなこと」を教えて貰えたような気がした。

 久しぶりにお会いした大先輩の友人とのランチは、穏やかな空気の中、有機野菜のおかずに玄米ご飯。
 噛めば噛むほど甘みが口に広がる玄米の美味しさに感動しながら、大切な人が健康でいることの幸せも噛みしめていた。
 私の免疫力は、こういう時間を大切にすることで、何倍にもアップする。

(インタビュー後記 村井裕子)

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