5月1日放送

吉田淑恵さん 人が持っている力を引き出し、よりよい成果に結びつけるための行動を促すサポートをしていく。あくまでも、ひとりひとりの中には必ず良い資源=力があると信じ、上から押しつけるのではなく、考えさせ、気づかせていくことが人を最大限に活かすポイント・・・これからの時代のコミュニケーションには、そんな意識がもっと大切になってくるに違いないと、「コーチング」を学び続けている。
 私はアナウンサーの仕事の他に、「話し方」や「朗読」の講座を道内各地で担当しているが、人の中にある「宝もの」を発掘するお手伝いが私の役割だとの思いが益々強くなってきた。「出逢う人、触れ合う人が、何かヒントを掴んで幸せになりますように」と思っている。崇高な理念などでは、たぶん、ない。ただ、人と人がいがみ合ったり、争ったりするのがとにかく嫌いな小心者、チキンハートなのだ。コーチングというコミュニケーションスキルを学ぶことで、私と触れ合う誰かが「自分が自分であること」に自信を持ち、幸せになって貰いたい。そうして得た穏やかな心で周りの人と接して欲しい・・そう思っている。

 室蘭の子育て支援「わにわにクラブ」をここまで引っ張ってきた吉田淑恵さんとお話しして感じた。吉田さんは、生まれながらのコーチ、「ネイティブ・コーチ」だ、と。
 お母さん達にとっての良き「子育てコーチ」なのだ。しかも、ハートも強くて、温かい。
 幼稚園に上がる前の幼児とそのお母さん達の集いの場を作り、ボランティアで10年継続させているという。子供のためというより、お母さん達が子育てに孤独感を感じないように、何かサポートが出来ないか・・というのが原点だったそうだ。
 「子育て相談はしない」という吉田さんの言葉を聞いて、興味がわいた。
 「え?お母さん達の相談にはのらないんですか?」
 それはこういうことだそうだ。
 「こうした方がいい」という言い方は、そのお母さんのやり方を否定してしまうことになるので、挫折感に繋がってしまう。
 子供もひとりひとり違い、親も違えば、叱りひとつとっても違う。家庭ごとに子育ての方法があるとしたら、それをひとつのパターンで押しつけるのではなく、「こんな例もあったけど、その場合あなたならどうする?」をひとりひとりのケースで考えさせ、気づかせた方がやる気に繋がり、達成感を引き出せる。「小さな成功体験」で、親としての自信をつけていくということだ。
 吉田さんのいる場に人が集まってくる理由がここにあるような気がした。

手紙 「今の私を作ってくれたのは、中学1年の時に亡くなった父親が残してくれた手紙なの」
 これまで誰にも見せたことがないと言って、大事にとっておいた手紙を見せてくれた。小学6年の時のお年玉の袋に入れてくれたそうだ。明治の人らしい達筆。半世紀を経て、便箋の和紙はところどころすり切れ、黄ばんでいる。
 放送でそのお手紙をご紹介させていただいたが、吉田さんも私もこみ上げてくるものがあって(ブースの外では、スタッフも泣かせたらしい)、感動的な時間だった。

吉田淑恵さん それは、親が子供に向ける愛。一言一言にその思いが溢れていて、丸ごとの「親の愛」に打たれた。
 その父親が娘に贈る言葉に、はっと気づいた。これもまた、素晴らしい「ネイティブ・コーチ」ではないか、と。
 「人として立派な人格となり、社会役立つ人になるのが一番良いこと。まだまだ勉強して立派な女性となり、日本の淑恵、いや進んで世界の淑恵と言われる人となってください」
 こういう溢れる「存在承認」と、果てしなく拓かれて行くであろう未来の可能性を「言霊(ことだま)」によって贈られた子供は、根っこの自信をしっかり抱えて前に進んで行くに違いない。
 「父」が娘に託したもの。それを受け継いで、「子を育てる親」の可能性を引き出す大きな役割を担い続けている「娘」。
 本当の意味で「人を育てる」大切さを感じさせて貰った素敵なひとときだった。

(インタビュー後記 村井裕子)

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