ほっかいどう元気びと

日曜日 あさ9:30-9:50

2019年1月20日のゲスト

高橋 銀司さん
一般社団法人「福祉システム北海道」代表理事/
介護福祉士・社会福祉士
高橋銀司さん

小清水町出身・札幌市在住。31歳。
高校時代にインターンシップで高齢者施設のボランティアを行った事で福祉の世界へ。
栗山町立北海道介護福祉学校、北海道医療大学、北星学園大学大学院で学び、福祉の専門学校で講師をしていた経験から、現場で働く人たちが長く勤められる環境づくりがしたいと、2018年、一般社団法人「福祉システム北海道」を立ち上げた。

radikoのタイムフリーを使用すると、放送終了から1週間ほど番組を聴くことができます。

村井裕子のインタビュー後記

高橋銀司さん 今回の『ほっかいどう元気びと』は、一般社団法人「福祉システム北海道」代表理事の高橋銀司さん 31歳。耳慣れない名称の団体だが、福祉や介護、医療現場などで働く人達がやり甲斐を持って長く働き続けるためのシステム作りをすることを目的に2018年に設立されている。福祉従事者の働きやすい職場環境整備や待遇改善は第一には国が推し進めなければならない課題だが、現場で働く個人個人の困り事などに寄り添い、共に学び、ネットワークを構築するという民間のサポートで福祉職の人達を支えたいという思いから始まった取り組みという。ご自身も障がい者の訪問介護事業所勤務や後進指導のための非常勤講師を続けながら、代表理事として福祉従事者の支援に力を入れるその思いを伺った。

 高橋さん始め福祉や福祉教育のプロの方々が関わってスタートさせたというこの取り組み。何より重視しているのは“福祉現場で働く人達が心身共に健康を保ち、長く勤められるように応援する”ということだという。そのために会員を募り、個々の意識や技術を福祉以外の他分野から学ぶ研修の実施や、過疎地域での継続を支援する奨励金事業、さらには相談や助言・指導という関わりを通して、今まで福祉従事者間では無かったネットワークの構築を目指すとのこと。
 相談や助言というのは、例えば1つには、ある職場でうまくいかないために福祉の仕事自体を辞めてしまうケースを減らすために、福祉の学びを生かせる他の働き場所の情報を提供し、選択の可能性を広げることで福祉職を続けることをフォローアップするということ。
 取り組みの説明から想像されるのは、働くひとりひとりを“孤立させない”というイメージだ。高橋さんは“アフターフォロー”という表現を使っていたが、20代の頃に専門学校で講師をしていた時の経験から、福祉職の学びを終えて卒業していった人達の“その後の困り事”にも対応する仕組みを作りたかったのだという。介護職などを目指す人達の教育に携わる側として、福祉現場で働く資格者や技術者の数を増やして社会に送り出すだけではなく、その人達ひとりひとりの気持ちに寄り添いながら、さらに人としてのスキルアップも応援していきたいという思いだ。

高橋銀司さん 今、社会の大きな課題の1つに挙げられるのが、「介護職などの人材不足と離職者対策」。はたして、“選んだ仕事を継続させる”ために必要なことは何なのだろう。“続けると辞める”の選択は福祉職では何が分かれ目になり、何が有効な対策となるのだろう。高橋さんが、大学院で“介護職員”をテーマに研究をし、「なぜ大変な仕事なのに20年、30年と続けられる人がいるのか」というその原動力を調べたとのことだったので、そこにどんなヒントを見出したのかを訊いてみる。研究の際の調査では、「利用者の方との関わり」「職員同士のネットワーク」「自分も成長出来ることの喜び」などの“続ける理由”が見えてきたのだそうで、それらを充実させて、この仕事の魅力を感じて貰える手助けをしたいという思いがミッションとなり、今の活動に繋がっているのだという。
 ヒントはやはり“人”なのだろう。人とどう向き合うのかによって様々なことが変わってくる。利用者に対して、そして、共に働く同僚に対して。どんな思いで、どんな言葉で、どんな距離感で関わればいいのかを知れば、日々の中で気持ちのいい関係が作られていく。そして、そのために向き合うべきは何よりもまず“自分自身”。自分という人間と上手く付き合えれば他者の思いを想像することも出来る。“人”としてのそれらの成長に繋がる学びを同業者同志が共有出来る場があるとしたらどんなに心強いだろう。人は、支え合う人がいることで安心して仕事に集中出来る。その、いい循環を作り出し、仕事へのやり甲斐や達成感に繋げて貰いたいという優しさが高橋さん達の活動にはこめられているのだと感じられた。
 さらに、心情が表れていた収録後の一言。
 「困っている人がいるなら寄り添いたい。頑張っている人を応援したい。頑張っているのに報われないということにとても腹が立つ。その義憤からの活動でもあります」

 「労働力不足」という言葉がさかんに聞かれるようになって久しい。言葉というのは不思議なもので何かを十把一絡げで捉えてしまうと、途端にその本質が隠されたり薄まったりすることがある。例えば「被害者○○人」というまとまりの中には「ひとりひとり」の命や人生や歴史があるし、例えば話し言葉の中の「男というものは〇〇なのである」的な全体を大掴みにしたような言い方も、すべての男を代表することは不可能なわけで、「自分としては○○と思う」と言えばいいだけのことだ。「労働力不足」も“人”のことを言っているのになんとも“体温”が感じられず、なにやら“生産性”が透けて見えて、その言葉の使い手の気持ちはさてどういうものかと探ってしまいたくなる。
 「福祉職」もしかり。高齢者介護もあれば、障がい者のサポートもある。療法士など医療分野にまたがる職もあるだろう。細かく分類していくと、それこそ人のいるところに人が担う仕事があり、いろいろな気持ちで従事しているはずだ。まずはそんな想像力を広げてみると、大事なことがみえてくるのかもしれない。
 「福祉システム北海道」の高橋さん達が果たそうとする役割は、公的な施策の“数”の増やし方だけではなかなか埋められない“人”へのサポートを“民”が率先して担おうということ。福祉という仕事へのやり甲斐を働く個人個人が深められるようなサポートをネットワークで進めようということだ。
 働き手ひとりひとりへの想像力。そんな想像力が働く社会であれば、逆の立場である福祉の“受け手”への想像力も醸成される世の中になるだろう。お年寄りといっても人の数だけ人生があるし、同じような障がいでもひとりひとり“その人らしい”生き方があり、皆違う。福祉の利用者側も十把一絡げで括られてはたまらない。
 いつの世も経済成長や効率の大号令にかき消されそうになる「人を尊重する」という大切なこと。それを忘れないために民の力で出来ることからやっていこうという姿勢はどんな分野でも益々求められていくのだろうと感じた。

(インタビュー後記 村井裕子)

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パーソナリティ

村井裕子 フリーキャスター/声と言葉の自己表現「村井塾」主宰

HBCで18年間勤務の後、フリーとして活動。現在は放送や朗読表現活動の他、札幌や帯広など道内各地で「話し方」「朗読」講座を通し、声と言葉の自己表現による人の魅力作りにも尽力する。

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