ほっかいどう元気びと

日曜日 あさ9:30〜9:50

2018年4月22日のゲスト

山本 吉信さん
「 ベーカリー カンスケ」店主
「パン甲子園 in いわみざわ」実行委員会事務局長
山本吉信さん

札幌市出身 43歳。
実家は、25年ほど前から使用する小麦を北海道産に切りかえた、岩見沢市のパン屋「モンパリ」。
2008年に父親から店を引き継ぎ、農業のまち岩見沢でパン屋として何が出来るのかを考え、2013年には、地域に愛着が持てる文化を作りたいと、市内のパン屋経営者や商工会議所などとともに『パン甲子園』を立ち上げた。

radikoのタイムフリーを使用すると、放送終了から1週間ほど番組を聴くことができます。

村井裕子のインタビュー後記

山本吉信さん 北海道の様々な分野に取り組む方々にお話を伺っている「ほっかいどう元気びと」、今回のお客様は岩見沢のパン屋さん「ベーカリーカンスケ」店主の山本吉信さん 43歳。美味しいパンを日々提供するだけではなく、農業のまち岩見沢でパン屋として何が出来るのかを考え、「パン甲子園」など若い人達を巻き込む企画にも携わってきたという。パン屋さんが叶えたい北海道だからこその夢を聞かせていただいた。

 「ベーカリーカンスケ」の誇りは、北海道産小麦を100%使用したパンを作り続けていること。岩見沢産のキタノカオリに、加える原材料もなるべく道産ものを吟味してきたという。今でこそ道産小麦を使うパン屋さんは珍しくなくなったが、遡ること20数年も前、山本さんの父親が営むパン屋「モンパリ」時代には国内で作られるパン原料のほとんどが外国産小麦。ほぼカナダ産やアメリカ産が使われていたというが、「モンパリ」が道産小麦に切り替えるようになったきっかけは、テレビで「ポストハーベスト」を取り上げていたのをたまたま親子で見たこと。遠く海を隔てた外国からタンカーで生の小麦を運ぶためにポストハーベスト(収穫後の農作物に散布する農薬や殺菌剤)を使用する現実に触れ、「目の前に畑があって小麦も作られているのに、なんでそれを使わないで外国産を使うのかなぁ」と、当時店を手伝っていた山本さんも至極疑問に思ったとのこと。親子の価値観は一致し、ほどなく地元の粉に切り替えて道産小麦パンの先駆的役割を果たしながらお店を存続させてきたのだそうだ。

山本吉信さん 10年程前にお店を引き継ぎ、店名も息子さんの名前を付けることで責任感を新たにしたという山本さん。大切にしたいものは何と言っても「地元」だ。自分達が暮らす地域の一次産業を守り、育て、その産物を使って二次加工をし、出来た製品をまずは地域で消費するという循環。パン屋が出来ることは、より良い加工原料を手掛ける農家の仲間達と繋がりを深めて、その「持続可能」な循環を次へ渡していくこと。高校生が地元食材に愛着が持てるようにと続けている「パン甲子園」はじめ、すべての取り組みの原動力が「地元を良くしたい」という思いからなのだと、食品製造者としての軸が真っすぐ伝わってくるお話だった。
 収録後にさらにいくつかの問いかけを進めていく中で、期せずしてプラスアルファの思いが言葉になってこぼれてくることがある。今回、山本さんの“プラスアルファ”は、秘めた闘志がにじむ今後の夢。
 今、仕組み作りとして進めているのが、岩見沢自慢の道産小麦キタノカオリを原料にした焼きたて食パンを限定販売するショップを東京で実現させること。「なぜ東京で食パンを?」と紐解いていくと、今本州ではキタノカオリの人気が高まり、都内の企業がプロデュースした“キタノカオリの焼きたて食パン”の店がブームになっているのだと教えてくれる。山本さんは思いを言葉にのせるように、「それはやっぱり悔しいじゃないですか」と続ける。せっかくの岩見沢産のキタノカオリなのだから、二次加工も地元の企業が担うべきなのです、と。
 北海道の最高の素材が本州に送られて、本州資本が加工を担い人気商品になるという例はこれまでも博多明太子を筆頭にいくつも挙げられるが、地元の企業が創意工夫して地元食材を加工まで担うことで、地域への還元に繋がる。「それが持続可能な食文化にも繋がるんです」と、山本さんは静かで熱い闘志をにじませていた。
 「キタノカオリに関して、まだ北海道の誰もやっていないことを実現させたい」・・・それが、北海道のパン屋さんの“自分だからこそ出来ること”という矜持。

 ひとりひとりの今まさに取り組んでいる仕事。それはいったい他者とどう繋がって、どう影響し合っているのか、自分の仕事の発想と取り組みをどう変えればさらにいい影響力を相互に与え合うことが出来るのか・・・。
 そんなことを共に考えていくという発想はこれから益々求められるのだろう。そういうふうに、地域を軸足にして“自分だからこそ出来ること”の中に矜持を見つけられれば、“この地方だからこそ出来ること”の中に地域の矜持も見つけられるのではないだろうか。
 北海道。海、山、大地、街あり地方あり。ひとりひとりが取り組むあらゆる仕事の“根”を空想で伸ばしてみる。例えば、この番組「ほっかいどう元気びと」でお話を伺ったそれぞれの仕事を丸7年分“視える化”した“マップ”を想像してみると・・・沢山の“根”が影響し合い、それぞれの“枝”が支え合う構図に新たな可能性が見えてきそうでワクワクする。
 さて、“この番組だからこそ出来ること”はさらにどんなことだろう。
 「北海道と人の力」という視点を大切にしながら、様々な人の志が繋がれるような発信をこの春からもしていきたいと改めて感じている。

※HBCラジオ「ほっかいどう元気びと」のホームページはこの春から模様替えし、これまでの7年間の出演者のお名前と取り組みが年ごとに分かるような様式になりました。北海道での様々な取り組みのヒントとしてもバックナンバーをどうぞご覧ください。

(インタビュー後記 村井裕子)

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パーソナリティ

村井裕子 フリーキャスター/声と言葉の自己表現「村井塾」主宰

HBCで18年間勤務の後、フリーとして活動。現在は放送や朗読表現活動の他、札幌や帯広など道内各地で「話し方」「朗読」講座を通し、声と言葉の自己表現による人の魅力作りにも尽力する。

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