やさしく伝える 防災コラム

台風・大雨

備えて減災「水害から命を守る〜マイタイムライン〜」

森山 知洋気象予報士、防災士、HBC気象キャスター

災害が起きたときに被害を最小限にとどめる取り組みを紹介する今日ドキッ!で放送中のシリーズ「備えて減災」。
今回は『水害から命を守る備え』です。

東日本や東北に甚大な被害をもたらした台風19号。(※2019/10/24現在)
80人を超える死者のうち、住宅内や車内で亡くなった方はおよそ6割、逃げ遅れや避難途中の犠牲者が多くなりました。逃げ遅れないための水害への備え方について紹介します。

気象災害が他の自然災害と大きく異なる点は「予測可能」ということです。地震などの災害は予知できないですが、台風などは数日前から来るかどうかある程度わかります。
予測可能だからこそ「備える時間」があります。

気象災害予測可能→備える時間がある(画像)
気象災害は備える時間がある

気象災害については、危険な時間帯に危険な場所にさえいなければ命を落とすことはないので、事前の情報収集と備え・行動が大切になってきます。
今回、台風19号は上陸3日前の段階で、強い勢力で静岡から関東付近に上陸する可能性が高いと予測が出ていました。
上陸前日には狩野川台風に匹敵する大規模な大雨災害の恐れという情報も出ていました。

実際、台風19号は、予報進路に近いルートで2019年10月12日の夜に静岡県に上陸し関東から東北南部を縦断していきました。

雨は台風19号の北側で広範囲に強く長く降り、関東甲信から東北の川の上流部を中心に流域全体で記録的雨量になったことで雨のピークを過ぎた後に大河川が決壊し、被害が大きくなりました。

2016年8月、道内でも連続台風によって同じようなことが起きていました。
北海道に5つの台風が接近や上陸。空知川が決壊し、南富良野町は広い範囲が浸水。
最も被害を大きくさせた台風10号によって流域全体の雨量が多くなり、南富良野町や十勝地方などで川の決壊や氾濫が相次ぎました。

急流が多い日本の川は洪水のリスクが高く、主な先進国は100年に一度以上の豪雨に耐えられるような整備水準に対し、日本の多くの川は30年〜40年に一度のレベルが当面の目標となっています。

各国の治水設備の整備基準(画像)
治水設備の整備水準(国土交通省データより)

数十年に一度レベルの豪雨が頻発する日本では自ら命を守る備えや行動が必要です。
逃げ遅れは、まさに命の危険に直結するため、災害発生前にどう備えるかが重要です。
事前に備える方法として「マイタイムライン」をご紹介します。

マイタイムラインとは(画像)
マイタイムラインとは

マイタイムラインとは、
「水害などこれから起こるかもしれない災害に対し
「いつ」「誰が」「何をするか」を時系列で整理した行動計画のこと」
です。

マイタイムライン(画像)
マイタイムライン(記入例)

マイタイムラインの行動計画を立てるスタートは、ハザードマップの確認です。
札幌市の洪水ハザードマップを見ると、川の近くだけでなく、かなり広域に浸水想定域が広がっています。

札幌市洪水ハザードマップ(画像)
札幌市洪水ハザードマップ(札幌市地図情報サービスWEBページより ※HBC作成)

今回の例では、近くの川は豊平川とし、浸水想定3メートルという場所に住んでいる5人家族で考えていきます。

まず、場所の危険度や家族構成などを整理します。
一番右の災害発生が起きてしまう前までにどうするかを時系列で逆算して、行動を考えていきます。

例えば、2・3日前までに

  • ハザードマップで浸水想定箇所をあらためて確認
  • 停電や断水などが起きることを想定し買い物などをしておく

川の水位が上昇し、市町村から避難準備・高齢者等避難開始の情報が出たら

  • 足が不自由なおじいちゃんは先に避難所へ
  • 1階にある大事なものを2階へ移動完了

川の水位が危険水位まで上昇し市から避難勧告が出た時には

  • 家族は全員すみやかに確認済みの安全ルートで避難

とこのような行動計画たてていきます。 それ以外にも例えば、避難するタイミングで、

  • 近所の一人暮らしの高齢者逃げてなかったら避難するように呼びかける
  • お父さんが仕事でいない場合は妻と子供で早めに移動する

など家族や近隣の状況によっても変わってくるものも想定しておきます。

このようないざという時の行動計画を自分の場所で自分の家族構成で、作ってみることをオススメします!

家庭で一つ作って冷蔵庫に貼るなどみんなが見える位置にあることにより、家族の避難行動や準備などが家族で共有できます。

マイタイムラインの注意点としては、行動計画の想定を超える危険な状況になる場合があることです。
それも頭に入れた上で危ないと感じたら早めに行動しましょう。

大雨時のマイタイムライン作成シートのダウンロードはこちら(PDF)
マイタイムラインの記入例のダウンロードはこちら(PDF)

ぜひ、ご活用ください。

森山 知洋 プロフィール

資格:気象予報士、防災士、健康気象アドバイザー など。
平成14年に気象予報士を取得後、民間気象会社勤務を経て、現在はHBCウェザーセンターにて、気象キャスターとして活動。
日本気象予報士会北海道支部長も務め、北海道防災教育アドバイザーとしても全道各地で防災講演などを行う。

※掲載した情報やプロフィールは更新日時点のものです。

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